いまの100万円を10年後、1400万円に増やす方法とは…バフェットが「複利効果」と「ゴールに着くことの重要性」を説くその理由

AI要約

インディアナポリス500マイルレースは、世界三大レースの一つであり、優勝者のコメントから勝つための秘訣が語られる。

自動車レースや投資という異なる分野での共通点を指摘し、バフェットの投資哲学についても触れられる。

ベンジャミン・グレアムから学んだ重要ポイントを踏まえ、市場の変動に対処する際の心構えが説かれる。

いまの100万円を10年後、1400万円に増やす方法とは…バフェットが「複利効果」と「ゴールに着くことの重要性」を説くその理由

 インディアナポリス500マイルレースは、インディ500と略されて呼ばれることも多い。モナコグランプリ、ル・マン24時間レースと共に、世界三大レースの一つに数えられることもあるビッグ・レースだ。

 バフェットは、このレースのある勝者のコメントを紹介している。

 インタビューで「レースで優勝する秘訣は?」と問われた勝者は「まず、ゴールに着くことが大事さ」と答えたのだ。

 確かに自動車レースは危険なスポーツであり、途中でのクラッシュやエンジントラブルなどでの離脱は珍しくない。もちろん、「離脱」すれば優勝どころか入賞することさえできない。

 だから、チームとして車をベストコンディションに維持する努力をするメカニックの存在は重要である。レーサーに比べればはるかに地味で目立たないが、彼らの「ゴールに着く」ための貢献は非常に大きい。

 また、クラッシュを避けるために運転技術を磨くことはもちろん、「必要以上のリスクを負わない」沈着・冷静な判断も求められる。

 極端な話をすれば、素人でもレーシングカーのアクセルを吹かせば、時速300キロも不可能ではない。ただし、それは直線コースだけでの話である。

 そのままコーナーに突入すれば大惨事は免れない。

 投資も同様だ。追い風の時には、もっと儲けようとアクセルを吹かす。例えば信用取引で自分の資産の何倍もの投資を行うのだ。そして、大概の場合、追い風が吹いている間はそれが上手くいく。直線のコースを走るのと同じだからだ。

 しかし、市場の追い風がやみ逆風が吹き始めると、「コーナリング」が必要になる。だが、パンパンに信用取引を振らませていると、ハンドルをうまく切れない。そしてクラッシュする。

 私が投資業界に40年以上関わってきた中で、このような惨劇をいやというほど見てきた。そして、「投資の神様」バフェットも信用取引は行わない。

 レースコースには直線だけではなくカーブが存在する。同様に、市場で追い風が吹く時があれば逆風が吹くときもある。

 バフェットは師匠のベンジャミン・グレアムから次の二つの重要ポイントを学んだ。

 1.「ミスター・マーケット」に振り回されるな

2.「安全余裕率」を確保せよ

 である。

 1については、2019年3月7日公開「投資の神様・バフェットはなぜ『株価の下落』を喜ぶのか」2ページ目「ミスター・マーケットに振り回されるな」で述べた。

 要約すれば、市場には直線コースしか見ていない人々が多く、その人々はコーナーに差しかかると、前述の理由から大パニックになる。レースコースが直線だけでは成り立たず、必ずコーナーがあるのと同様に、市場にも必ず向かい風があるのは明白な事実だ。しかし、不思議なことに、市場参加者の多くは追い風の間それを忘れてしまっている。

 あるいは、コーナーの手前で減速すれば良いと考えているのだが、レースコ―スと違って市場の「コ―ナ―」は(遠くからは)目に見えない。追い風でアクセルを吹かせていると、突然目の前に現れるのだ。

 ベンジャミン・グレアムは、「決してパニックに陥ってはいけない。むしろ、パニックを利用するべきだ」と説く。そして、市場を「ミスター・マーケット」という、すぐにパニックを起こす躁鬱病の人物に例えるのだ。