2年連続「日本一の大富豪」になったファストリ柳井正氏 2018年に取締役に就任した長男と次男は後継者になるのか?注目集まる一族の動向

AI要約

ユニクロ創業者の柳井正氏が2年連続で日本一の大富豪に輝き、5兆9200億円の資産を持つ。ライバルの孫正義氏に大差をつけて世界29位にランクイン。

柳井氏はファストリを地方の安売り店から都心のチェーン店に変貌させ、猛烈な危機感から常に走り続けてきた。しかし、70代半ばで会社を離れる時期を考え始めている。

長男と次男が取締役に就任し、後継者候補として育てられているが、柳井氏は世襲を嫌い、子供たちには社長になるつもりはないと語っている。柳井家の資産は社会への投資や寄付を通じて管理される予定。

2年連続「日本一の大富豪」になったファストリ柳井正氏 2018年に取締役に就任した長男と次男は後継者になるのか?注目集まる一族の動向

 米『Forbes』誌の「日本人長者番付」トップ50が発表され、「日本一の大富豪」という栄冠を2年連続で手に入れたのは、「ユニクロ」創業者でファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏(75)だった。その資産は5兆9200億円で、世界29位。日本人2位でライバルのソフトバンクグループ会長兼社長・孫正義氏(66)に1兆7000億円以上の大差をつけた。

 ファストリの原点は1984年、広島にオープンした「ユニーク・クロージング・ウェアハウス」だ。そこから40年で時価総額13兆円の巨大企業に成長させた。『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。

「ユニクロは地方の安売り店から、都心のオシャレなチェーン店に見事に変貌を遂げました。その背景には、“歩みを止めたら潰れる”と全力で走り続ける柳井氏の猛烈な危機感があります。とはいえ彼も70代半ばを迎え、いよいよ会社が自分の手を離れた後のことを考える時期に来ています」

 ファストリでは2018年に、柳井氏の長男・一海氏(50)と次男・康治氏(47)が取締役に就任した。経済ジャーナリストの鈴木貴博氏が語る。

「この人事は、経営を監視するプロフェッショナルな取締役に育ってほしいとの親心の表われと見ます。柳井氏自身はやがて経営を離れて、2人の息子とともに、大株主として自らの資産である会社を保守・管理するつもりかもしれません」

 息子たちは「後継者候補」との見方がある一方、柳井氏は「子供を跡取りにする気はない」と語ってきた。ファストリの社外取締役を10年間務めた京都先端科学大学教授の名和高司氏が語る。

「柳井さんは世襲を嫌うので、息子たちを社長にする気はないはずです。一方で柳井家の莫大な資産はCSR(企業の社会的責任)活動や寄付などを通じて、長期的な観点で社会に投資・還元をしていくのでしょう。もちろん、そこには節税対策も含まれるはずですが」

 ファストリの株式を保有するのは柳井氏だけではなく、一海氏と康治氏がそれぞれ5980億円分、柳井夫人の照代氏も2900億円分を持つ(6月12日時点の時価)。柳井家の巨額資産の行方も含め、一族の動向に注目が集まる状況は続きそうだ。

※週刊ポスト2024年6月28日・7月5日号