フランス、極右勢力抑える安全装置が崩壊か-主流政党の団結に疑問符

AI要約

マクロン大統領が国民議会を解散し、選挙が行われる中、フランスの政治情勢が大きく変化している。

極右政党・国民連合がリードを保ち、主流政党が弱体化している中、左派の連合が台頭する可能性がある。

政治的同盟や選挙公約の違いが混迷を生む中、投票者の選択が分かれる展開となっている。

フランス、極右勢力抑える安全装置が崩壊か-主流政党の団結に疑問符

(ブルームバーグ): 何世代にもわたって、フランスの体制側には極右政党が国政に近づくことを防ぐ暗黙の了解があった。そのモデルが崩れ始めている。

マクロン大統領が国民議会(下院)を解散してからの1週間、各政党の対立候補たちは7月7日に終了する2段階での選挙でチャンスを最大化するために、提携を結ぶ必死の交渉に取り組んできた。

このプロセスは16日の夕方、各政党の候補者確定期限とともに終了。マクロン氏の政党、再生(RE)は左右両方からの攻撃にさらされ、世論調査では大差を付けられた3位に後退している。

マリーヌ・ルペン氏が率いる極右政党・国民連合(RN)が世論調査でのリードをそのままに保ち議会で過半数を確保することができれば、欧州連合(EU)首脳にとって根本的な挑戦になる。

左派の一部の急進化と、極左の「不屈のフランス」からより穏健な「社会党」までさまざまなグループがぎくしゃくした同盟関係を結んでいる状況が、ルペン氏に有利に働いている。このことは、主流政党が極右を倒すために常に力を合わせる、いわゆる「共和国戦線」を崩壊させる可能性がある。

フランス左派の主要政党は、極左グループ「不屈のフランス」のカリスマ的リーダー、ジャンリュック・メランション氏を中心とする4党の脆弱(ぜいじゃく)な同盟を結成することで、世論調査でマクロン氏のREを上回った。先週発表された左派連合の選挙公約は、マクロン大統領が成し遂げた経済改革を巻き戻し、財政政策をめぐってEUと衝突する方向にかじを切るというものだ。

メランション氏が反ユダヤ主義的な表現を使ってきたことも加わり、多くの中道派にとって左派連合「人民戦線」への投票は問題外だ。

マクロン氏でさえ、ルペン氏とメランション氏のどちらかに投票するとしたら誰に投票するかについて明言を避けている。元政府報道官のオリビア・グレゴワール氏は16日、棄権すると述べた。ナチスの責任を追及する闘いで知られるユダヤ人歴史家のセルジュ・クラルスフェルト氏は14日にLCIに対し、メランション氏よりもルペン氏の運動に投票すると語った。