ターボの「ポン付け」とかいうけど全然「ポン」じゃない! いまどきのNA車のターボ化は超高難易度だった!!

AI要約

ターボ付けることは可能だが、実際はコストや条件が厳しい。

ターボ化にはエキゾーストマニホールドの作成やECUの制御などが必要。

現実的にはアフターパーツメーカーがキット化したクルマでないと後付けターボ化は難しい。

ターボの「ポン付け」とかいうけど全然「ポン」じゃない! いまどきのNA車のターボ化は超高難易度だった!!

 某イニシャル系漫画で主人公の友人がAE85のあまりの遅さに「ターボを付ける!」なんて話があったが、どんなクルマでもターボ化できるのだろうか。答えはNOだ。いや、正確にはコストがいくらかかってもよければ可能だが、現実的にはアフターパーツメーカー側でキット化されていない場合はかなり難しい。

 ターボは排気ガスのエネルギーを回収しウンタラカンタラといわれるが、要するに排気ガスの勢いで風車をまわし、その力でエンジンに空気を押し込む。排気量以上の空気が押し込まれればそのぶんだけたくさんガソリンを噴射することができ、爆発すれば排気量以上の爆発力が得られるというもの。

 なので、理論的にはNAのクルマのどれでもターボ化できるにはできる。しかし、まず難関がエキゾーストマニホールドを作ること。NAでは各気筒から来た排気ガスを集合させてフロントパイプと繋がるだけのエキマニだが、ターボでは、できるだけ短い距離で集合させ、そこにタービンをつけないといけない。排気ガスの勢いが強いうちにタービンにぶつけないとレスポンスよくタービンがまわってくれないのだ。

 とにかくエキマニが必要になる。ワンオフでも可能だが、職人がパイプを曲げて溶接しながらひとつずつエキマニを作ったらそれだけで数十万円は軽くかかる。

 アフターパーツメーカーのターボキットの場合、鋳造エキマニを作ったりするので、1セットあたりのコストは遥かに安くあがる。タービンが付いたあともインテークにまわすパイピングキットなどを作る必要がある。

 なんとかエンジンに空気を押し込めたとして、あとはどうガソリンを吹いて制御するかということになる。NA車ではインジェクターの容量が小さいので、大容量インジェクターに交換が必要な場合もある。しかし、最近の直噴車はインジェクター交換が基本的にできないので、ターボ化してもガソリンの増量ができず、それでは大きな効果が期待できない。

 86/BRZは各社からターボやスーパーチャージャーキットが発売されていて、ノーマルの2倍近いパワーやトルクを出すことも可能。これは直噴インジェクターと併用でポートインジェクターがあることが幸いして、このポートインジェクターを大容量品に交換することもある。

 そして、ECU書き換えが可能なことも大切。いまどきは車体の電子制御や盗難防止のイモビライザーなどがあるので、純正ECUを外してフルコンだけで制御するのはストリートカーは厳しい。なので、純正ECUが解析されていて、燃料増量とか可変バルブタイミングの制御、点火時期の変更などができる車種でないと厳しいのだ。

 そういった条件があるので、現実的にはアフターパーツメーカーがキット化したクルマでないと後付けターボ化は現実的には厳しいのである。

 HKSで現在市販されているボルトオンターボキットは86/BRZのみ。GR86/BRZも多少加工すれば取り付けられるとのことだが、実際のところ、いま買えるNA車をターボ化できるのは86/BRZ系だけなのだ。