会社員の夫とパート勤務の妻が定年後に「月30万円」の年金を受け取るには年収いくら必要になる?

AI要約

老後の年金額を計算する方法や増やす制度について解説

老齢基礎年金額や老齢厚生年金額を算出する手順を説明

具体的な計算例を通じて、必要な年収を求める方法を示す

会社員の夫とパート勤務の妻が定年後に「月30万円」の年金を受け取るには年収いくら必要になる?

老後の年金額はこれだけもらいたい、と目標を定めている方もいるでしょう。目標とする年金額が分かっていると、必要なおおよその年収を計算できます。

もし、計算をして収入が目標年金額に届かないときは、年金額を増やせる制度の利用も早めに検討しておきましょう。

今回は、目標の年金額から必要な年収の求め方や、年金を増やせる制度などについてご紹介します。

将来受け取りたい年金額から必要な年収を求めるには、まず老齢基礎年金額を計算する必要があります。

老齢基礎年金額は、国民年金保険料を納付した月数によって変わり、40年間欠かさず納めていれば満額を受給可能です。日本年金機構によると、令和6年度だと、欠かさず納めた場合で月額6万8000円、年間81万6000円の老齢基礎年金を受け取れます。

受給できる老齢基礎年金を求めたあとは、全体の年金額から老齢基礎年金額を引き、必要な老齢厚生年金額を求めましょう。老齢厚生年金額がいくらか分かれば、必要な年収も計算できます。

■老齢厚生年金額から年収を求めるには?

老齢厚生年金額は、報酬比例部分を求めるとおおよその金額を求められます。報酬比例部分とは、年金額を計算する際の基礎となる数値です。

日本年金機構によると、厚生年金に加入した期間が平成15年4月以降だった場合の報酬比例部分は「平均標準報酬額×0.005481×加入月数」で計算できます。平均標準報酬額は、月収から定められる標準報酬月額と年間賞与から定められる標準賞与額の総額を加入期間で割って求める金額のため、月収に近い数値です。

つまり、報酬比例部分に老齢厚生年金額を当てはめて求めた平均標準報酬額の数値に12ヶ月をかけると、必要な年収が分かります。

今回は、以下の条件で計算をします。

●夫婦ともに国民年金は欠かさず支払っている

●妻が加入しているのは国民年金のみ

●老齢基礎年金は令和6年度の金額

●夫が厚生年金に加入した期間は平成15年4月以降

●報酬比例部分以外の加算は考慮しない

●厚生年金の加入期間は22~65歳の43年間

まず、条件の通りだと令和6年度の金額で老齢基礎年金を満額受け取れるため、老齢基礎年金額は夫婦で合計して月に13万6000円、年間163万2000円です。月に30万円の年金を受け取るためには、夫の老齢厚生年金額が月に16万4000円、年間196万8000円必要となります。

これを報酬比例部分の計算式に当てはめると「196万8000円=平均標準報酬額×0.005481×516ヶ月(43年)」です。

式を基に計算すると、平均標準報酬額は約69万5850円、年収に換算すると厚生年金に加入中の平均年収が約835万200円あれば、年金を月に30万円受け取れます。

ただし、ほかに加算があるときや国民年金の免除制度を利用していた場合などは、金額が変動するのであくまで参考としてください。