日産はレクサスLMよりずっと早く「超VIPミニバン」を作っていた! 「エルグランド・ロイヤルライン」の中身がスゴイぞ!!

AI要約

日産エルグランドのVIPグレード「ロイヤルライン」の4人乗り仕様と、現代のミニバン「LM」の比較。

1998年のエルグランドVIPグレードの豪華な装備と先進性について。

現代のエルグランドVIPグレードの洗練されたラウンジ感覚と価格について。

日産はレクサスLMよりずっと早く「超VIPミニバン」を作っていた! 「エルグランド・ロイヤルライン」の中身がスゴイぞ!!

 一般ユーザーが買う買わないは別にして、いまレクサス初のミニバン(日本市場)「LM」の4人乗り仕様が話題になっている(その後、6人乗りもデビュー)。2000万円という価格も驚愕で、アルファードが大空間3列シートサルーンであるならば、こちらはトヨタ・センチュリーと同じ2列シートの大空間リムジンと呼ぶべき存在だ。

 が、そんな2列シート、4座、4人乗りのミニバンの先駆者は、日産エルグランドだったことを覚えているだろうか。

 時は1998年。前年の1997年にキャラバン/ホーミーのミニバンとしてデビューした初代日産エルグランドに、オーテックが仕立てた「ロイヤルライン」(695万円)が加わったのだ。当時の日産の社長車として使われたことからも話題になっていた。

 全長4740×全幅1775×全高1940mm、ホイールベース2900mm、駆動方式2WD、VG33E 3.3リッターV6エンジン(170馬力、27.1kg-m)+4速ATというスペックはともかく、当時のカタログには「新世代VIP車 ロイヤルライン登場」と高々にうたわれ、後席の説明では、「ファーストクラスVIPシートが最上のくつろぎをもたらします」「それは、まさに航空機のファーストクラスシート。心身ともに、ゆったりとおくつろぎいただけます」などと書かれている。

 ユニークなのは、後席左右席空間がまったく別物だということ。高級ファブリックを用いたパワー、フットレスト付きのシートは同一だが、左側席は足もとがより広く、前にある後席専用7インチテレビを備えた(ポツンと置いてある感じだが)コンソールも湾曲していて膝まわりスペースも広々。後席専用装備としては、格納式後席用テーブル、後席ピュアトロンなども用意され、ダウンライトを含むトータルコーディネイト照明、電動ピュアクリーンカーテン、オートスライドドア部分の電動式スライドステップも完備する。

 一方、右側席はノートパソコンが置ける100V電源付きスライド式テーブル、その下にCDデッキ+カセット一体AM/FMラジオチューナー、書類収納スペース、再生専用VHSビデオデッキなどが備わり、仕事をするのに適切な空間となっている。

 つまり、2座の左右の役割が違うということだ。仕事をする際は右側席、寛ぎたいときは左側席……ということだろうか。VIPが後席ひとり乗車なのであれば、その日の気分によって左右席を選べるというわけだ。

 後席の「ファーストクラスVIPシート」は、現代から見れば昭和の豪華応接間感覚で、レクサスLMのモダンリビングとの時代の違いを強く感じさせるが、当時はそれが高級だったのである。

 オーテックが手がけるからには、走りのチューニングも行われて当然で、カタログには「遮音材の効果的な使用で後席の優れた静粛性を実現するとともに、最適なチューニングを施した専用サスペンションを装備、なめらかで快適な乗り心地をもたらす」とある。

 当然、誰かが運転することになるわけだが、前席の装備も最先端で、5.8インチ電動ポッフアップ式液晶モニター(テレビ/バードビュー/音声ガイド付きナビケーションシステム/後方モニター兼用)を完備し、カタログによれば、「大きなゆとりと安心感に包まれたドライビング」をもたらしていたようだ。

 ここで、忘れちゃいけないのは、現在も日産エルグランドにはVIPグレードとして4人乗りが用意されていること。こちらの後席はなるほど、現代の洗練されたラウンジ感覚。ただし、左側席の前方がより広い「ロイヤルライン」の伝統は受け継がれているようだ。

 なお、価格は2WDで807.84万円。なんだかお得に感じてしまいそうだ。