大阪社交界の舞台、名建築「大阪倶楽部会館」が完成から100年

AI要約

大阪倶楽部会館は100年を迎え、建物の老朽化と会員の高齢化が課題となっている。

会館は欧州の社交クラブに倣って1912年に発足し、安井武雄による特徴的なデザインで知られる。

会員数は減少し、高齢化が進む中、次世代への引き継ぎと補修が必要とされている。

 大阪を代表する名建築の一つとされる「大阪倶楽部会館」(大阪市中央区)が今年、完成から100年を迎えた。長らく会員制の社交クラブとして使われ、財界人らの交流の場となってきた。建物の老朽化と会員の高齢化が進む中、次の世代にどう引き継いでいくかが課題となっている。

(経済部 山村英隆)

 会館は地上4階、地下1階建て。正面は5連のアーチを配した南欧風だが、一部に東洋風の装飾が施された様式が特徴だ。オフィスビルが並ぶ淀屋橋地区の中で、ひときわ目を引く。

 大阪倶楽部は欧州の社交クラブに倣う形で、1912年に発足した。現在の会館は初代の焼失に伴い、24年5月に完成した。大阪を中心に活躍した建築家の安井武雄による設計で、97年に国の登録有形文化財となった。安井は同じ国登録有形文化財の「大阪ガスビルディング」(同)を手がけたことでも知られる。

 入会には会員2人の推薦が必要で、入会金も10万円と安くない。それでも1100人超の会員が親交を深める場となっている。会員には企業の経営者や医師、弁護士らが名を連ねており、大手企業出身の男性(74)は「多彩な経歴の方と交流することができて、様々なものの見方を学べる」と話す。

 活動の柱は、毎週水曜日に著名人や学者らを招いて開かれる「定例 午餐ごさん 会」だ。3400回を数え、松下電器産業(現パナソニックホールディングス)を創業した松下幸之助や作家の山崎豊子らが講演してきた。

 一方、会員数は減っており、現在はピークの95年頃の3分の2程度。平均年齢は70歳超と高齢化も進む。建物自体も内部のしっくいが剥がれるなど傷みが目立つ。今後も補修を続けながら会館を維持していくには、多くの会員の協力が欠かせない。

 こうした中、若い世代にアピールしようと、週末は結婚式場として会員以外にも開放している。倶楽部も長らく「紳士の社交場」という位置づけだったが、昨年、女性に門戸を広げた。

 倶楽部の理事長を務める関西経済連合会の松本正義会長は「次の100年に向け、『集いの場』の伝統を次世代へ引き継いでいきたい」としている。