子どもの後継者が急減!中小企業の事業承継「息子に継ぐ」が4割未満に、後継者難・高齢化で経営者が伝えるべきこと

AI要約

経営者の高齢化が進み、後継者難が深刻化している。

経営者の子どもが後継者となるケースが減少し、従業員や親族以外への事業承継が増加している。

中小企業の事業承継に関する支援が広がり、後継者の不在への対応が進められている。

 ~ 中小企業の今とこれからを描く ~

日本政策金融公庫総合研究所では、中小企業の今とこれからの姿をさまざまな角度から追うことで、社会の課題解決の手がかりを得ようとしています。最新の調査結果を、当研究所の研究員が交代で紹介していきます。今回からは、3回にわたって高齢の経営者が対応を迫られる承継や廃業の問題についてみていきます。初回は子どもへの承継、第2回は経営資源の引き継ぎ、第3回は円滑な廃業をテーマに取り上げます。

 (井上 考二:日本政策金融公庫総合研究所 主席研究員) 

■ 子への事業承継が大きく減少

 帝国データバンク「全国『社長年齢』分析調査(2023年)」によると、全国の経営者の平均年齢は60.5歳である。33年連続で上昇しており、経営者の高齢化が進展していることがうかがえる。その大きな要因として挙げられるのは、後継者難により事業の承継が進まないことである。

 特に経営者の子どもが後継者となるケースが減っている。

 当研究所が2015年から4年おきに実施した「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」の結果から、中小企業の後継者をみてみると、後継者が決まっている「決定企業」では「男の実子」が2015年の61.3%から2023年の39.4%に大きく低下している(表1)。

 後継者がまだ決まっていない「未定企業」における後継者候補も、「男の実子」は50.5%から41.6%に低下している。

 代わって存在感を増しているのが、従業員をはじめとする親族以外への承継である。

 「決定企業」では15.5%から29.5%に、「未定企業」では30.2%から38.8%に高まっている。後継者のいない中小企業と事業を継いでくれる人や会社を仲介するサービスが増えるなど、官民挙げて中小企業の事業承継を支援する動きが広がった結果といえる。

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