最近話題の「私人逮捕」! たとえばバイクの違反者にも適応されるのか?

AI要約

私人逮捕とは、警察官ではない一般の人が犯罪を犯した者を逮捕すること。最近はSNSや動画投稿者による私人逮捕が話題になっている。

私人逮捕は現行犯逮捕のみ認められ、逮捕の条件は犯人の住所や氏名が分からない場合、逃亡のおそれがある場合に限られる。

バイクに関連する重大な交通違反は私人逮捕の対象となりえるが、注意が必要なケースもある。

最近話題の「私人逮捕」! たとえばバイクの違反者にも適応されるのか?

 最近、ニュースやSNSなどで話題になっている「私人逮捕」という言葉。これまであまり耳にすることがなかったワードですが、SNSには私人逮捕に関連する動画がいくつもアップされており、多くの人から注目を集めています。

 私人逮捕とは、警察官ではない一般の人が犯罪を犯した者を逮捕することです。犯罪の抑止につながるメリットがある一方、最近では、"私人逮捕系" や "世直し系" と呼ばれる動画投稿者による逮捕者が出たり、えん罪などのトラブルが立て続けに起きていたりなど問題にもなっています。

 ところで、私たちライダーがやりがちなスピード違反や信号無視といった交通違反も、法的には犯罪にあたりますが、「私人逮捕」はバイクについての交通違反にも適用されるのでしょうか。

 そもそも私人逮捕については、刑事訴訟法第213条で「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくして逮捕することができる」と規定されています。ただし、犯罪の容疑がかかった人であれば、すべて私人逮捕できるかといえばそうではありません。

 逮捕には通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の3種類があります。このうち私人逮捕が認められているのは現行犯逮捕だけ。通常逮捕と緊急逮捕をおこなうことができるのは、警察官や検察官などの捜査機関だけです。

 さらに、30万円以下の罰金、拘留、科料にあたる軽微な犯罪についての、現行犯逮捕の条件は2つあります。まずひとつ目が「犯人の住居または氏名が明らかでない場合」、2つ目が「犯人が逃亡するおそれがある場合」のいずれかの条件を満たした場合のみ現行犯逮捕が認められています。

 これらの条件を踏まえて、私人逮捕が認められるケースとしては、盗撮犯や万引き犯を見つけてその場で取り押さえた場合などが挙げられます。一方、私人逮捕ができないケースとは、交番などの指名手配犯のポスターの犯人を見つけたときなどです。指名手配の犯人は過去に犯行をおこなっているので現行犯にあたりません。

 現行犯逮捕とは、「現に罪をおこなっている、または現に罪をおこない終えている者」である必要があります。そのため、指名手配犯を見つけて私人逮捕した場合は、違法となる可能性があるので注意が必要です。

 つまりバイクに関連する違反の場合、現行犯であれば私人逮捕は可能というわけです。

 たとえば、交通違反のなかでも飲酒運転やひき逃げなどは、本人が犯罪の認識があるにもかかわらず違反を犯しているため、非常に悪質なケースといえます。こうした重大な交通違反を目の当たりにした場合は、現行犯であれば私人逮捕の要件を満たしているといえるでしょう。