「関西大震災」が起きたら…あの日635メートルにわたり横倒しになった阪神高速「もう倒壊しない」

AI要約

阪神大震災がインフラの脆弱性を露呈し、阪神高速や鉄道各社が安全対策に取り組む姿勢を示している。

阪神高速は耐震工事の完了や災害対策の強化を進め、緊急輸送道路としての役割を果たす取り組みを続けている。

鉄道各社も利用者の安全を重視し、列車緊急停止システムや地震早期検知システムなどを導入するなど、安全対策を強化している。

 高速道路が橋脚の根元から横倒しになり、鉄路はうねった。電気やガスが止まり、電話も通じない――。

 阪神大震災は、高度成長を経て、全国に張り巡らされた道路や鉄道といったインフラ(社会資本)の脆弱さを露呈した。その後も多くの災害に見舞われる中、命を守る強靱化(レジリエンス)をどう高めていくか、模索が続いている。

 総延長258・1キロ・メートル、1日当たり平均約70万台が利用する阪神高速。大阪と神戸をつなぐ「大動脈」ではあの日、神戸線の一部が635メートルにわたって倒れ、5か所で落橋、16人が犠牲となった。被害が集中したのは1981年に導入された耐震基準よりも前に建設された橋脚だった。

 運営する阪神高速道路(大阪市)は15年超をかけ、2011年度までに対象となる全ての橋りょうで必要な耐震工事を完了した。減災に向け、スーパーコンピューターによる地震シミュレーション(想定実験)の高精度化に取り組んだほか、地震によって路面に大きな段差が生じないようにしたり、高速の入り口を遠隔操作できるようにしたりするなど、災害に強くなるための対策を継続している。

 吉田光市社長は「(阪神大震災と)同じ規模の地震がきても、もう倒壊しない。今後もやるべきことを重ね、緊急輸送道路として機能する強固なネットワークをつくりたい」と話す。

 阪神大震災では鉄道各社も高架橋や駅舎、トンネルなどが崩壊する被害を受け、大阪と神戸を結ぶJR西日本と阪急電鉄、阪神電鉄の3路線で計1日45万人(当時)の足が奪われた。乗客の死者はいなかったが、脱線が起き、負傷者も出た。

 各社は改めて「どう利用者の命を守るか」に向き合い、在来線の列車緊急停止システムや新幹線の地震早期検知システムに結びついた。元日の能登半島地震では、金沢―富山間で運転中の北陸新幹線4本がけが人を出すことなく緊急停止し、脱線も防いだ。一方で、東日本大震災を機に「津波対策」のほか、ローカル線を中心に、早期の運転再開が新たな課題に浮上した。