アウトドア好き向けの「アシストスーツ」、中国Hypershellが開発 コストを10分の1に圧縮

AI要約

極殻科技(Hypershell)が消費者向けアシストスーツを開発し、プレシリーズAで数千万元(数億円超)を調達した。

Hypershellは外骨格型アシストスーツの研究開発に取り組み、世界初のシングルモーター駆動型外骨格システムを開発した。

HypershellはAI技術と組み合わせた「Hypershell Motion Engine(HME)」システムを開発し、ユーザーの動きをリアルタイムで予測し、アシストの強度や速度を調整することで、消費者向けの製品を完成させた。

アウトドア好き向けの「アシストスーツ」、中国Hypershellが開発 コストを10分の1に圧縮

消費者向けアシストスーツを開発する「極殻科技(Hypershell)」がこのほど、プレシリーズAで数千万元(数億円超)を調達した。緑洲資本(Vitalbridge)が主導し、Minevra Capitalが単独で財務アドバイザーを務めた。資金は主に量産化やグローバル市場の開拓などに使われる。

Hypershellは2021年末に設立され、国外のハンターやカメラマンなど野外で活動する人をターゲットに、消費者向けの外骨格型アシストスーツの研究開発に取り組んでいる。この1年間に徳迅投資(Decent Capital)や奇積創壇(Miracle Plus)などからも複数回資金を調達した。

開発チームはロボットや人間工学、AIアルゴリズムの専門家によって構成され、中心メンバーはいずれもアウトドアの愛好家だ。創業者の孫寛CEOは、ロボットのハードウェア管理や外骨格の研究、海外向け製品ブランドの創設など、10年にわたりさまざまな経験を積んできた。孫CEOによると、新型の外骨格型アシストスーツはモーターの力で人の運動能力を強化するもので、負荷が大きくなるほどアシストする力が大きくなる。

2023年3月7日に、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」で消費者向けとしては初となる外骨格型アシストスーツ「Hypershell Go」が世界に向けて発表された。代理店を使わず、わずか数万ドル(数百万円)の投資で、2600人の支援者を集めて3000台を受注、120万ドル(約1億9000万円)以上の資金を集めた。

2024年の初めには、アウトドアスポーツのコアなユーザーに向けて、アウトドアスポーツに特化した「Hypershell X」を発売した。自社で開発したAIを使い、モードを切り替えることなくウォーキング、ランニング、登山、サイクリングなど9つの異なるシーンで使用することができる。

Hypershellが製品を発表する前、2021年までに世界で販売された外骨格型アシストスーツはわずか3000台ほどだった。その理由は、価格が数万元(数十万円)から数十万元(数百万円)と高価になりがちだったからだ。コストが高い割にそれほどの効果がなく、バッテリー技術もネックになるなどさまざまな要因に加え、医療現場で使用するという固定観念が邪魔をし、外骨格型アシストスーツはなかなか消費者向けに広がらなかった。

製品形状のブレークスルーを足がかりに、Hypershellは世界初のシングルモーター駆動型外骨格システムを開発し、2023年には「Omega」フレームを発表、これによりコストも重量も従来品の半分となった。さらに最新のロボット技術と組み合わせて、コアとなる部品を自社開発した。例えば、マンマシン・インタラクションを最適化するために高出力密度化したモーターモジュールは、最大で30ニュートンメートル(N・m)の力でアシストし、負荷を30キログラム減らすことができる。バッテリーの重量も1.8キログラムに抑え、全体のコストを従来品の10分の1にして、製品価格を抑えた消費者向けの製品を完成させた。

Hypershellは最新のAI技術とアシストスーツの研究成果を組み合わせた「Hypershell Motion Engine(HME)」システムを自社で開発した。従来製品ではユーザーが運動モードを手動で調整していたのに対し、同システムはユーザーの動きのリアルタイムデータを深層学習アルゴリズムと結びつけ、個人の習慣を学習して動きを予測、アシストの強度や速度を都度適切に調整し、さまざまなシーンで正確にアシストできるようにした。今後ユーザーが拡大し利用が増加することで、HMEシステムは強化学習を繰り返して進化を続け、より高い互換性を持つようになるという。

※1元=約22円、1ドル=約157円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)