大阪・堺へ行ったら「上穴子にぎり」…売り切れ必至の逸品です

AI要約

堺市の名物食材であるアナゴを使った美味しい料理が楽しめるお店や和菓子店が紹介されています。

堺市ではアナゴの専門店や老舗の和菓子店が栄えており、伝統的な製法や味を守り続けています。

地元の人々からも支持される名物料理や和菓子を堺市で楽しむことができるので、訪れる際はぜひ味わってみてください。

 「あなごの美味(うま)いのは、堺近海が有名だ。東京のはいいと言っても、関西ものに較(くら)べて調子が違う」。そう評したのは、美食家の北大路魯山人だ。

 堺市の出島漁港はかつて、アナゴのはえ縄漁が盛んだった。近くの通りには専門店が並び、「出島穴子屋筋」と呼ばれた。しかし、戦後に臨海部の開発が進むと、漁獲量が激減。店も次第に減っていった。

 そんな中でも、食文化や加工技術は受け継がれており、その一つが1948年創業の「深(ふか)清(せ)鮓(ずし)」。持ち帰りの専門店で、穴子寿(ず)司(し)は売り切れ必至の逸品だ。

 焼きアナゴを使った箱ずしと、煮アナゴの握りがあり、選んだのは「上穴子にぎり」(2721円)。口の中でとろけるほどの軟らかさに、濃厚なタレの甘みが相まって、箸を持つ手が止まらなかった。

 「初代からやり方は一つも変わっていない」と3代目の深井壽(とし)光(みつ)さん(59)。堺産のアナゴではなくなったものの、信頼する卸元はそのままで、タレは継ぎ足しせず、一からこしらえる。「日々、同じことをやっているだけ」と多くは語らないが、そのぶれない姿勢が味を守り、支持されているのだと感じた。

 堺市は茶人・千利休の出身地でもあり、「環(かん)濠(ごう)エリア」と呼ばれる旧市街地には、老舗の和菓子店が多く存在する。

 「小島屋」は、南蛮貿易でインドから伝わったケシの実の香味を生かして考え出された「けし餅」を300年以上、製法を守りながら作り続けている。北海道産の小豆を使ったこしあんを餅皮で包み、ケシの実をまぶした直径4センチほどの和菓子で、頬張るとプチプチとした食感と香ばしさ、そして上品な甘さが広がる。2階の茶房で1個200円で楽しめるほか、持ち帰り用の箱入り(6個985円など)もあり、お土産や贈答品としても人気という。

 ※税込み。記事中の値段などは紙面掲載時のものです。

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