東北海岸線「歩く旅」外国人に人気のワケを深掘り 全線1025km開通5周年「みちのく潮風トレイル」

AI要約

青森県から福島県まで縦断する「みちのく潮風トレイル」は2024年に全線開通から5周年を迎え、外国人ハイカーも訪れる人気のロングトレイルである。

約1025kmの道のりには多彩な景色が広がり、2011年の東日本大震災後の「グリーン復興」を受けて整備されたコースは、地域の自然と文化を体感できる魅力的なスポットが点在している。

MCTを歩くハイカーは全線踏破者として登録され、2023年にはのべ12万人が訪れ、外国人観光客も増加している。

東北海岸線「歩く旅」外国人に人気のワケを深掘り 全線1025km開通5周年「みちのく潮風トレイル」

 森林や原野、里山などに引かれた「歩くための道」、トレイル。青森県から福島県まで東北地方4県の太平洋岸を縦断する「みちのく潮風トレイル」(以下、MCT)は2024年6月9日に全線開通から5周年を迎えた。

 2024年2月には、イギリスの「タイムズ」紙の「日本の訪れるべき場所 14選」で、長野県松本市、知床国立公園、東京都に続く4番目に選ばれたばかり。「見事な景色だけでなく、災害から10年以上経った今も復興を続けるコミュニティにもアクセスできる」などと紹介され、たくさんの外国人ハイカーがMCT目当てに来日している。

 円安の影響で国内旅行に目をむける人が増えている今、MCTを歩く楽しさをお伝えしたい。

■青森から福島1025kmのロングトレイル

 MCTは観光名所としても有名な青森県八戸市の蕪島(かぶしま)を北の出発点に、岩手県、宮城県を通り、福島県相馬市までの1025kmをつなぐ道のこと。

 2013年に北端の八戸市と岩手県久慈市の間の約100kmが開通したのを皮切りに順次、区間が延伸し、2019年6月に全線が開通。1025kmが1本の道でつながった。

【写真】「みちのく潮風トレイル」を歩く旅。その楽しさや魅力がわかる写真の数々(19枚)

 太平洋沿岸地域の幹線である国道45号の歩道を行く区間があったかと思えば、漁村あり、砂浜あり、江戸時代に使われていた峠道あり……。景色も、断崖絶壁の眼下に広がる大海原、たくさんの小型船が停泊する漁港、広葉樹の森、白砂青松など実に多種多様だ。

 実はMCTは、2011年の東日本大震災後、「グリーン復興」を掲げた環境省が整備を進めてきたトレイルルートだ。

 被災地の豊かな自然資源、その恵みをなりわいとする暮らし。その一方、自然の脅威に対抗すべく培われた知恵があり、地域固有の風土を体感できるのがMCTの魅力と言える。

■人口2千人の村に押し寄せる外国人ハイカー

 MCTの運営を担うNPO法人「みちのくトレイルクラブ」によると、2023年にMCTを歩いた人はのべ12万人。コロナ禍をはさみ、2022年からは回復傾向にある。

 1025kmを歩いたハイカーは全線踏破者として登録される仕組みもあり、2024年5月末現在で146人が登録されている。