鉄道3社連携へ協会設立、運転士確保・資材の高騰などに対処…ハピライン・えち鉄・福鉄

AI要約

ハピラインふくい、えちぜん鉄道、福井鉄道の3社が連携して設立した県鉄道協会は共通の経営課題に取り組む任意団体で、運転士不足や資材費増加などの課題に対処していく。

協会では、3社の力を結集して運転士確保や資材の共同購入・利用を行い、経営基盤の強化と利便性の向上を図る。全国初の地域鉄道協会設立で、福井県内の全地域鉄道が参加している。

ハピラインふくいは開業2か月半で目標を上回る利用者数を達成し、新幹線開業に合わせて利便性向上に努めている。

 「ハピラインふくい」(福井市)と「えちぜん鉄道」(同市)、「福井鉄道」(福井県越前市)の鉄道3社は、共通する経営課題に連携して取り組む任意団体「県鉄道協会」を設立した。運転士の確保に向けて合同の企業説明会を開いたり、資材を共同購入・共同利用したりして、経営基盤の強化と利便性の向上を目指す。

 同協会によると、3社は慢性的な運転士不足に加え、物価高騰による資材費の増加や人件費の上昇などの課題を共通して抱える。各社の社員数は約100~約300人と人員が限られ、赤字も続いているため、3社の力を結集して課題に対処する方が有利と判断した。

 都道府県内にある全ての地域鉄道が参加し、共同で任意団体を設立したのは全国で初めてという。

 事務局は、3社で最も規模の大きいハピラインに置き、同社が社員5人を兼務させる。今後は、企業説明会の開催や、社員募集のチラシ作成を共同で実施。枕木や、線路に敷き詰めるバラスト(砕石)といった資材を一括購入してコスト削減を図り、大雪の際には使っていない除雪機を互いに融通するなどして路線の維持・管理を効率化する。

 さらに、地域鉄道の魅力を発信するイベントを共催したり、3社共通の1日フリー切符を販売したりすることも検討する。

 5日に福井市内で開かれた設立総会で、会長に選ばれたハピラインの小川俊昭社長は「3社が連携して福井の鉄道の魅力などを打ち出していきながら、良い人材の確保につなげたい」と話した。

 第3セクターのハピラインふくいは、開業から2か月半の利用者が1日平均で約2万2500人だったと発表した。経営計画で設定した目標(約2万人)を上回った。

 同社は3月16日の北陸新幹線金沢―敦賀間の延伸に伴い、並行在来線(北陸線大聖寺―敦賀間)の経営をJR西日本から引き継いで開業。その後、5月末までに計171万8562人が利用した。

 1日あたりの利用者を定期券の種類別でみると、通勤客は5543人で、経営計画の目標より約1000人少なかった。それに対し、通学客は約900人多い9027人。一方、定期券を使わない観光目的などでの利用者は7938人で、約2400人上回った。

 ハピラインはJR時代と比べて29本増発し、朝夕には福井―敦賀間で新たに快速列車を運行した。利便性の向上に、新幹線の開業に合わせた関連イベントや、3月31日のフルマラソン「ふくい桜マラソン」、大型連休中の駅周辺でのイベントなども重なり、利用者が増えたと分析している。