「バルクオム」の10年が変えたメンズスキンケアと野口CEOが語る未来像

AI要約

メンズビューティブランド「バルクオム」が2013年にスタート。男性向けスキンケア市場に攻めた価格設定で参入した。

ブランドは男性の美容意識を変え、メンズスキンケアのリーディングブランドに成長。販売シェアで上位を獲得し、1300万本以上を出荷。

バルクオムのCEOは新規性を持つメンズスキンケア市場に挑戦し、王道を目指したと語る。

「バルクオム」の10年が変えたメンズスキンケアと野口CEOが語る未来像

メンズビューティブランド「バルクオム(BULK HOMME)」がスタートしたのは2013年のことだ。今ほど男性のスキンケア習慣が一般化しておらず、プチプラ商品でも使っていれば褒められた時代。洗顔、化粧水、乳液をそろえると1万円に迫る、マスの男性向けとしてはかなり攻めた価格設定で、メンズスキンケア市場に参入した。

ブランドを立ち上げた当時、大学2年生だったバルクオムの野口卓也CEOは、「美容への関心・知識は人並みか、それ以下だった」という。一般男性と変わらぬ美容意識、それゆえ業界の常識に縛られない発想力があった。

それから10年、「バルクオム」は世の男性の美容へのモチベーションを動かし、メンズスキンケアのリーディングブランドに成長する。バルクオムは、主要ドラッグストアやバラエティーショップ、ECを合計したメーカー別販売シェア(2023年1~12月)において、メンズカテゴリーの洗顔料で2位、化粧水で1位、乳液で1位を獲得。シリーズ累計出荷本数は1300万本を突破した。(出典:富士経済「化粧品マーケティング要覧 2023」)。

今や美容関心層だけでなく一般男性からも広く支持されるようになった「バルクオム」。野口CEOにブランドのこれまでと描く未来を聞いた。

男性は「めんどくさがり」か

常識を疑い、王道を目指す

WWD:創業のきっかけは。

野口卓也バルクオムCEO(以下、野口):「メンズスキンケアを世の中に啓蒙したい」とか、そういう思想めいたものはなかった。ビジネスを自分で興して戦い、勝算が高そうな領域がたまたまメンズコスメだったというだけ。メンズビューティ市場の王道カテゴリー、僕はそれをスキンケアだと思っていたのだが、そこにはまだ圧倒的なブランドがないと感じていた。

WWD:10年前、スキンケアをする男性は今よりもニッチだった。

野口:文明未開の島の住民に商品を売るようなものだった。スキンケアのやり方も、やる意味も分からない人ばかり。マーケティングの世界では、需要の全くないところを攻めるのは悪手だ。プロのマーケターたちは、「ここはだめだ」と見切りをつけていたから、メンズスキンケア市場は広がらなかった。ただ新参者で知識も経験もない僕は、「潜在需要のフロンティアだ」と喜び勇んで飛び込んだ。