時価総額は4年で1000億円→77億円に急落…クラファン企業「マクアケ」伸び悩みの根本原因

AI要約
購入型クラウドファンディングサービスのマクアケが低迷しており、過去の成功が影を落とす状況にある。業績悪化に伴い、広告宣伝費を削減するなどの対策を講じているが、認知度低下の懸念もある。マクアケは独自性やインパクトで消費者に支持されてきたが、競合他社に比べて売上高に占める広告宣伝費の割合が高かった。しかしその割合を削減する一方で、業績低迷に歯止めをかけようとしている。過去には多くのヒット商品を生み出し、企業や有名ブランドとのコラボレーションも積極的に行ってきたマクアケ。しかし、今後の成長に向けた課題が山積みであり、新たな戦略が必要とされている。

購入型クラウドファンディング「マクアケ」の業績が低迷している。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は「マクアケは『目新しさ』『独自性』『インパクト』で勝負し、消費者に支持されてきた。一方、アマゾンや楽天など他のECサイトのように、既存商品を低価格で大量に売ることができないジレンマがある」という――。

■時価総額は最盛期の10%未満に下落

 2024年4月23日に発表された2024年9月期第2四半期の決算報告で、マクアケは売上高、売上総利益ともに前年同四半期比で大幅なマイナスとなった。売上高は-5.7%、売上総利益は-9.6%。21年9月期のコロナ禍での「巣ごもり需要」以後は、低調な業績が続いている。

 19年12月に東証マザーズ市場に上場、初日で時価総額326億円をつけ、当時は大きな話題となった。その後、20年7月には時価総額1000億円にまで上昇したが、下落傾向が続き、24年現在は77億円に落ち着いている(5月28日)。

 決算報告によるとGMV(流通取引総額)、つまりサイトからの購入による売上が前年同期比で-3.7%となっており、販管費は-19.7%となっている。取引総額が伸び悩むなか、販管費を圧縮することで利益を出そうとしている様子がうかがえる。

 もともとマクアケは、同セグメントの他社に比べると、売上高に占める広告宣伝費の割合が突出して高かった。前年同期で比較すると、BtoBの営業DXサービスのサンサンが15.1%、フリマサービスのメルカリが28%、ネットショップ開業サービスのベイスが26.7%のところ、マクアケは34.1%を広告宣伝費が占めていた。

 広告宣伝に注力し、認知度を上げて購入につなげるというビジネスモデルだったが、今回の決算では広告宣伝費を前年同期比-43.2%まで削っている。これは業績低下への一時的な歯止めにはなるかもしれないが、当然ながら認知度の低下が危惧される。今後の成長につながる対策とは言えないだろう。

■「応援購入」とコラボでファンを増やしてきた

 マクアケは、企業や事業主が新製品・新サービスのプロジェクト提案を行い、「買いたい」と思った消費者がそれを先行的に購入することで資金が集まり、新製品・新サービスが発売されるという、クラウドファンディング形式のECサービスを展開している。

 過去にはチェーンレスの電動アシスト自転車や小型の超音波食洗機、メガネ型のプライベートシアター、明治とコラボレーションしたチョコレートドリンクメーカーなどのヒット商品を生み出してきた。

 またソニーや伊勢丹、ビームス、ジャーナルスタンダードなどの企業や、阪神タイガースや北斗の拳、スター・ウォーズなどのIPとのコラボレーションも数多く手がけている。

 独自のITデザイン教育で話題となった神山まるごと高専とは、「先輩募集 応援購入プロジェクト」を行い、その設立に寄与した。アニメ映画『この世界の片隅に』のパイロットフィルム製作資金の調達に使われたことでも知られる。