2023年の国内クラウド市場は前年比29.6%増の7兆8250億円、IDC Japan調査

AI要約

IDC Japan株式会社は、2023年までの国内クラウド市場を予測し、成長率や市場規模を詳細に分析している。

クラウドマイグレーションの新たな局面や企業のデジタルビジネスへのシフトの加速など、市場の動向について解説されている。

今後の国内クラウド市場における成長を牽引する要因や課題、ベンダーの必要性について言及されている。

2023年の国内クラウド市場は前年比29.6%増の7兆8250億円、IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は3日、国内クラウド市場予測を発表した。2023年の国内クラウド市場は前年比29.6%増の7兆8250億円(売上額ベース)、2023年~2028年の年間平均成長率は16.3%で推移し、2028年の市場規模は2023年比2.1倍の16兆6285億円になると予測している。

 2023年の国内クラウド市場は、「製品/サービスの単価上昇(為替変動による値上げの影響を含む)」「ハードウェア製品の供給不足からの回復」「クラウドマイグレーションの拡大」によって大きく成長した2022年(前年比成長率38.7%)と比較すると、成長率が大幅に低下したものの、順調に推移したと分析している。

 IDC Japanでは、クラウドマイグレーションは新しい局面を迎えていると説明。これまでのクラウドマイグレーションは、Webシステムや情報系システム、パッケージアプリケーションを活用した基幹系システムからの移行が多く、クラウドマイグレーションの実行を体系化しやすいシステム領域が主な対象だったが、2023年に入るとカスタムアプリケーション開発した基幹系システムへの拡大が顕著に見られるようになったとしている。

 国内では、経済産業省が2018年に「デジタルトランスフォーメーション(DX)レポート」を公開して以降、企業のDXに対する関心が高まっている一方、ビジョンやリーダーシップの欠如、組織の壁、デジタル人材の不足などの多様な課題があり、全体としては停滞感も見られたと指摘。しかし、2020年以降の「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大」や「SDGs/ESG/サステナビリティの理解と対応」「パーパス、マテリアリティを重要視した経営方針の策定」などにより、企業のデジタルビジネスへのシフトは加速していると分析している。また、現在、高い関心を集めるGenerative AI(生成AI)は、その機能性だけではなく、データやビジネスプロセスの整備を促すことから、企業のデジタルビジネスに対する取り組みを促進するとしている。

 今後の国内クラウド市場については、「カスタムアプリケーション開発した基幹系システムのクラウドマイグレーション」「DX/データ駆動型ビジネス」が成長を牽引すると予測。また、生成AIの普及は、インフラに対する投資を拡大すると共に、製品/サービス単価の上昇が見込まれ、DX/データ駆動型ビジネスの成長を加速するとしている。

 一方で、企業がDX/データ駆動型ビジネスを推進する上では、組織/文化の壁、デジタル人材の不足など、多様な課題が残っていると指摘。IDC Japan Software & Servicesのリサーチディレクターである松本聡氏は、「ベンダーは、内製化支援サービスといった技術的な内容だけではなく、デジタルビジネスを促進するユースケースの提示と共に、同ユースケースに合致した業務変革、組織変革の支援の強化を行うべきである」と述べている。