コロナ無料検査事業で補助金詐取の罪 私腹を肥やしてない?「基本的にないです」と元市議 検査場運営会社に巻き込まれたと主張

AI要約

岐阜県瑞穂市の元市議会議員が新型コロナウイルスの無料検査事業で23億円をだまし取り、初公判で罪を認めた。

被告は市議会議員と医薬品販売会社社長であり、検査キットの単価を水増しして補助金を詐取した共謀事件で起訴されている。

被告は支払われていない代金の回収を目的として手を貸したと主張しつつも、取り分を得ていた可能性が指摘されている。

コロナ無料検査事業で補助金詐取の罪 私腹を肥やしてない?「基本的にないです」と元市議 検査場運営会社に巻き込まれたと主張

新型コロナウイルスの無料検査事業を巡る、補助金およそ23億円をだまし取った罪に問われている、岐阜県瑞穂市の元市議会議員の男。5月31日、初公判が開かれ、罪を全面的に認めた。

かつて、岐阜県瑞穂市の市議会議員だった、松野貴志被告(49)。いまは、詐欺の罪に問われる被告人だ。

松野貴志被告:どのような形であったとしても、事件に関わってしまっている。これは罪でありますので、しっかりと認めていきたいと思います。どのような判決が出ても、自分の犯した罪としっかり向き合っていきたい。

5月31日朝、こう話して法廷へ向かった。

松野被告は、市議会議員の傍ら、医薬品販売会社の社長も務めていて、新型コロナウイルスの無料検査場を運営する業者にも、検査キットを販売していた。

そして、大阪で無料検査場を運営していた、販売先であるスターシードの当時会長だった中垣裕資被告(37)らと共謀。検査キットの単価を、実態の最大2.5倍に水増しした虚偽の伝票を作って、大阪府から補助金およそ23億円をだまし取った罪に問われている。

市議会議員としてのモラルが問われる犯罪。逮捕当日に家族が辞職願を出し、今は無職となった松野被告は、なぜ詐欺に手を染めたのか。5月29日、岐阜県の自宅を訪ねると、取材に答えた。

記者:税金を詐取したことについては?

松野貴志被告:本当に反省しております。いずれにしても大切な税金になるので、そういったことは二度と起こらないように、私自身もしっかり気をつけていきたいと思う。

反省の弁を述べつつも、スターシードに巻き込まれただけと主張した。

当初、取引先の一つだったスターシード。しかし、販売代金の振り込みが滞るようになり、支払いを求めると、検査キットの単価を水増しする不正を依頼されたという。この時、支払われていなかった検査キット代は4000万円以上。

松野貴志被告:(未払い代金が)4400万円です。いつ支払ってもらえるかわからない。私どもには月末に支払いが待っているので。(水増しの)要請を受ける卸はほかにもいっぱいありますとはっきり言われましたので。これで(水増しの依頼を)断って帰ってしまうと、たぶん支払われないまま、飛んでしまうなと。

あくまで、支払われていない代金の回収のために手を貸し、巻き込まれただけと主張。 不正に得た補助金についても…

記者:今回の犯行を通じて、松野さんが私腹を肥やしてはないか。

松野貴志被告:そういったことは基本的にはないです。

記者:水増し分の利益は全く得ていないということでしょうか。

松野貴志被告:公判の方に影響があるので、コメントは差し控えたいと思う。

金目当てではないと主張。 一方で、捜査関係者によると、水増しした伝票通りの金額が、スターシードから松野被告の会社に振り込まれ、実際の価格との差額をスターシード側にキックバックする際、一部は松野被告の会社に残されていたということだ。これが松野被告の取り分とみられている。

31日の初公判で松野被告は、「間違いありません」と起訴内容を認めたうえで、「大阪府に補助金の申請をしていたのは、検査場の運営会社(スターシード)で、検査キットの単価をいくら水増ししていたかについては知りません」と主張。

一方、検察側は冒頭陳述で「水増しの発覚を免れるため、検査場の運営会社(スターシード)の役員らと、口裏合わせをしていて、検査キット1つあたり、水増し分の220円が、松野被告らの取り分だった」などと指摘した。

松野被告は巻き込まれただけの哀れな存在なのか。裁判での解明が待たれる。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年5月31日放送)