【2024年問題】昨年度の福島県トラック協会 廃業・撤退40社、過去最多 燃料費高騰や残業規制影響

AI要約

2023(令和5)年度に廃業・撤退した福島県トラック協会の会員事業者は過去最多規模の約40社だった。燃料費の高騰や新型コロナウイルス感染拡大、時間外労働規制などにより事業継続が困難だった。この影響は県内産業にも大きな影響を及ぼす可能性がある。

福島県トラック協会は2023年度末に会員数が前年より減少し、廃業・撤退した事業者が増加。経営環境が厳しくなり、コロナ禍後の輸送業務の減少や燃料価格の上昇が廃業の要因となった。

中山間地域などで運搬支障が出る可能性もある状況。県トラック協会は適正な運賃や社会環境整備を国に求め、支援策の強化を訴えている。

 2023(令和5)年度に廃業・撤退した福島県トラック協会の会員事業者は過去最多規模の約40社だった。協会が30日、明らかにした。燃料費の高騰や新型コロナウイルス感染拡大による輸送需要の低迷に加え、今春の時間外労働の規制強化による経営悪化などを見据えて事業継続を断念した企業が増えたと協会は見ている。今後も廃業・撤退を選択する事業者は増える可能性があり、協会は「物流網だけでなく県内産業にも多大な影響が出る」として支援策の継続・強化を求めている。

 協会には県内のトラック運送事業者の8割が加盟している。2023年度末の正会員・賛助会員は前年より20社減り1216社だった。新型コロナウイルスの感染拡大前までは除染土壌運搬などの復興需要を背景に毎年20社超が加入し、廃業に至るのは数社程度にとどまっていた。コロナ禍後は輸送業務の減少に加え、燃料の軽油の価格が10年前の1・5倍程度に膨らんだことなどから経営が悪化する事業者が増加。廃業・撤退は10社超まで増えてきたという。

 これまでは経費節減などの自助努力で燃料や消耗品などの価格上昇に対応できたが、4月から運転手の時間外労働の上限が年960時間と定められた。運転手1人当たりの業務量が限られることで経営環境は厳しさを増す見通しとなった。運送時間を短縮して労働時間を減らすため一般道でなく高速道路を使わざるを得ず、負担が大きくなった事業者もあるという。協会によると、廃業・撤退を決めた事業者は「赤字になる前に廃業せざるを得ない」「人手の確保が難しい」などを理由に挙げている。

 関係者によると、運送事業者の廃業・撤退で製品や農産物の運搬に支障が出ている中山間地域などもある。協会は「会員の大半が中小事業者であり、存続の岐路に直面している。今春を機に事業者がさらに減少する可能性は高い」と説明。荷主が適正運賃で輸送を発注するための法制度の創設や、運賃に価格転嫁をするための社会環境づくりなどを国に求めている。

■支援事業の継続要望 県トラック協 業界の窮状訴え

 県トラック協会は30日、県などに燃料費高騰対策の事業「地域公共交通等運行継続緊急支援事業」の継続を要望し、業界の窮状を訴えた。

 協会によると、2023年度は国が財源となる交付金を補正予算で計上し、県がトラック1台につき1万円を補助した。今年度は現時点で国の予算計上が不透明となっている。要望で佐藤信成会長、蓬田隆信副会長らは昨年度より会員事業者の負担が増えている実情を強調。「福島の物流を維持し、産業を支えるため、支援をお願いしたい」と求めた。