中国軍演習の狙いは「台湾海峡の内海化」 台湾側分析、常態化も警戒

AI要約

台湾の蔡明彦国家安全局長は、中国軍による台湾周辺での演習が「台湾海峡の内海化」を狙っている可能性を指摘し、警戒感を示している。

中国軍は演習中に台湾への威嚇や管轄権の主張、偽情報の拡散を通じて台湾に対する影響力を高めようとしている。

国家安全局は、中国の頼総統就任後の攪乱行為の増大に対し、国際社会との安全保障面での協力を強調している。

【台北=西見由章】台湾の蔡明彦国家安全局長は29日、立法院(国会に相当)外交・国防委員会で書面報告を行い、中国軍が台湾周辺で23、24日に実施した演習の狙いについて「(中国による)台湾海峡の内海化」という印象をつくり出すことだと指摘した。演習を常態化させ、「新たな現状」を構築しようとする可能性があるとの警戒感も示した。

蔡氏は報告に先立ち、中国軍による演習の目的は台湾への威嚇であり、「台湾海峡情勢における絶対的な主導権を内外に示すこと」だと記者団に語った。その一例として、台湾海峡における「管轄権と法執行権」を展開しようとしたことを挙げた。中国軍は今回の演習で、初めて海警局の部隊を台湾海峡周辺や台湾離島付近に動員してパトロールを行った。

また蔡氏によると、中国側は演習の期間中、偽情報によって台湾世論をコントロールする「認知戦」を頻繁に展開。台湾防衛を支援する米国の能力に疑いを抱かせる「疑米」論や、台湾軍の能力を貶(おとし)める「疑軍」論、頼氏の対中関係の管理能力を疑わせる「疑頼」論を拡散したという。

国家安全局の書面報告は、中国が頼総統の就任後に台湾への「軍事、外交、経済貿易とグレーゾーン事態における攪乱(かくらん)」を引き続き増大させると分析した。一方、中国による軍事演習は「地域の平穏を脅かすという国際社会の懸念を高める」ことから、「われわれと理念が近い国々との間で安全保障面の協力や情報共有を進めるのに有利だ」とも主張している。