「盗まれた」赤ちゃん12万人 ジョージアの人身売買スキャンダル

AI要約

ジョージアの大学生エレネ・デイサーゼさんとアナ・パンチュリゼさんはティックトックで自分にそっくりな顔をした人物を見つけ、DNA鑑定の結果一卵性双生児であることが判明した。

二人は違法に売買された乳児の一部であり、養子縁組のスキャンダルが明るみに出ている。

エレネさんとアナさんは新しい現実を受け入れながらも、養親に感謝し血縁者を見つけたことに喜びを感じている。

「盗まれた」赤ちゃん12万人 ジョージアの人身売買スキャンダル

【AFP=時事】ジョージアの大学で心理学を学ぶエレネ・デイサーゼさんは2022年、ティックトックを眺めていた時、自分とうり二つの顔をしたアナ・パンチュリゼさんのプロフィルを見つけた。

 数か月後には、二人はチャットで会話する仲になっていた。共に、自分が養子であることを告知されていた。

 そして昨年、二人はDNA鑑定を受けることにした。その結果、血がつながっているだけでなく、一卵性双生児であることが分かった。

 二人は現在19歳。大学で英文学を学ぶアナさんはAFPに「幸せな子ども時代を過ごしたけど、過去の全てが偽りだったかのように感じる」と話した。

 エレネさんとアナさんは、ただ生き別れになったわけではなかった。ジョージアで数十年間にわたり問題になってきた、違法に売買された乳児のうちの2人だった。全体の数は12万人とされる。

 このスキャンダルをめぐっては、ジャーナリストと被害者家族らが調査に乗りだし、養子縁組が50年以上にわたり、産科医院、保育施設、養子縁組あっせん業者のネットワークによって行われていたことを突き止めた。

 産科などは共謀して、死産だったなどの理由を付けて実の親から子どもを取り上げ、出生記録を改ざんし、国内外の養親に売却していた。

◼️「新しい現実」

 心理学を学んでいるエレネさんはAFPに「姉妹だとは思わず仲良くなったが、お互いに特別な絆を感じていた」と語った。

 二人が養子であることを養親から別々に打ち明けられたのは、昨年の夏だった。アナさんは「私は新しい現実を受け止めたくても、受け入れられなかった。18年間育ててくれた人たちが実の親じゃないなんて」と話した。

「でも怒りは全然感じていない。育ての親には感謝しかない、そして血縁者を見つけられたことがうれしい」

 エレネさんとアナさんのDNA鑑定は、ジョージア人ジャーナリスト、タムナ・ムセリゼ(Tamuna Museridze)さんが手配した。ムセリゼさんは、違法に養子に出された子どもと親をつなぐためのフェイスブックグループを運営している。