疲弊する米「シークレットサービス」、相次ぐ暗殺未遂や異例の選挙戦で警護官に重度のストレス

AI要約

米共和党大統領候補のトランプ氏を暗殺しようとした容疑者が逮捕され、シークレットサービスの重要性が再び強調されている。トランプ氏は警護官らを称賛しつつ、自身の警備体制の強化を求めている。

シークレットサービスは議会認可定員よりも400人も少ない状況で対応を強いられており、トランプ氏の暗殺未遂事件以降、さらなる警護対象の拡大にも対応しなければならない。

トランプ氏の警備の重要性が問われる中、シークレットサービスのスタッフは長時間労働とストレスに悩まされており、事件の背後には多くの課題が潜んでいる。

疲弊する米「シークレットサービス」、相次ぐ暗殺未遂や異例の選挙戦で警護官に重度のストレス

米共和党大統領候補のトランプ氏を暗殺しようと、フロリダ州のゴルフ場の茂みに約12時間も潜んでいたというライアン・ラウス容疑者を警察が逮捕したことを受けて、シークレットサービス(大統領警護隊)が再び注目を集めている。トランプ氏はシークレットサービスの警護官らを称賛する一方、相次ぐ暗殺未遂事件の発生を受け、自身を警護する人員を増員することを求めた。だがシークレットサービスのロウ長官代行は、部下たちがすでに長時間労働と重度のストレスにさらされていると語る。

「シークレットサービスは素晴らしい仕事をした」――Ⅹで行われたインタビューでトランプ氏は、2カ月で2度目となる暗殺未遂事件から自らを守った警護官らを称賛した。

トランプ前大統領の声

「私は警護官と一緒にいたが、その警護官は素晴らしい仕事をした。我々の予定が変わったのは明らかだった。最後のパットを沈めたかったが、ここから出ようと決めた。実際に興味深かったのは警護官がAK47という非常に強力なライフル銃の銃口を見つけ、その銃身と茂みに向けて発砲し始めたことだ」

トランプ氏はまた、自分を護衛する警護官を増やしてほしいと述べた。だが、シークレットサービスは前例のない困難に直面している。

政府の記録によれば、シークレットサービスの職員数は議会が認可した定員より約400人も少ない。

またバイデン大統領が選挙戦からの撤退を決め、ハリス副大統領が民主党の大統領候補に選出されたため、シークレットサービスが警護対象とする関係者の範囲は一層広がった。

「シークレットサービスのスタッフは、レッドラインを越えている」――最初のトランプ氏暗殺未遂事件の後、前長官の引責辞任に伴いその職責についたシークレットサービスのロウ長官代行は、部下たちが長時間労働と重度のストレスにさらされていると語る。

ロウ氏は記者団に対し、15日にトランプ氏がゴルフを行うことは非公表だったため、当局は厳重な警備態勢を敷かなかったと述べた。

フロリダ州のデサンティス知事は17日、容疑者がなぜ12時間もの間、潜んでいられたのか疑問を呈した。

フロリダ州 デサンティス知事

「ゴルフのプレー仲間として、あるいは知事として考えたとき、安全面から見て明らかに弱点だと感じた。ゴルフコースにいると、それを無視することはできない。いくつかの疑問が生じるだろう」

デサンティス氏は、フロリダ州としてこの事件を独自に調査すると述べた。同氏は、フロリダ州などでのトランプ氏に対する連邦政府の訴追を引き合いに出し、連邦政府が透明で徹底的かつ公平な調査を行えるのか、疑問を投げかけた。