写真が語る北朝鮮の大変化、斬首作戦やクーデターを実感し始めた金正恩

AI要約

金正恩総書記が特殊部隊訓練基地を視察し、実戦訓練の強化を指示。護衛兵の厳しい警備の様子が写真から明らかに。

金正恩氏の周りを取り囲む完全武装の護衛兵の配置に異常を感じさせる写真。訓練時の対処態勢について考察。

公開される警護写真の意味と、金正恩氏が訓練の強化を求める裏に何があるのかについての考察。

 朝鮮中央通信は9月11日、「金正恩総書記が軍の特殊作戦部隊の訓練基地を視察し、実戦訓練を引き続き強化することを指示した」と発表した。

 その中で、「兵士たちは、祖国と人民を守る、我が人民軍固有の愛国精神を持った兵士になること。そして、厳しい決戦の時が来るなら、敵の心臓部を急襲し、攻撃する部隊の進撃路を一気に切り開くことができる、実戦訓練を引き続き強化すること」と述べた。

 そこで、公表された訓練の写真から、射撃訓練、格闘(武道)訓練について分析し、この時の異常なほど厳しい警備の様子と、その警備を行わなければならない理由について、考察する。

■ 1.完全武装の護衛兵に囲まれる金正恩

 写真1:この場面では、特殊部隊兵が実弾を使用した射撃訓練を実施しているのを、金正恩総書記が指導している。

 金正恩氏は右手に狙撃銃を持っている。その周りには、いつもの軍のトップが付き、総書記を補佐しているという構図である。

 金正恩氏の軍の視察でいつもと異なるのは、小銃と黒い戦闘服で武装した護衛兵が、金正恩氏とお付きの軍トップの周りを取り囲むように配置されていることである。

 このアップの写真には、金正恩氏の周りに護衛兵3人が写っている。その他にスーツ姿のSPがいる。

 護衛兵の装備と服装を見ると、小銃を持ち、鉄帽を被り、黒の戦闘服に防弾チョッキを身に着け、トランシーバーを左肩に付け、皮の戦闘靴を履いている。

 特殊部隊の兵は、ゴムと布で製造された戦闘靴を履いている。これらの護衛兵は、特別に優遇されている者たちだということが分かる。

 写真2でも、7人の完全武装の護衛兵が写っている。特に注目されるのは、護衛兵が持つ小銃の銃口は下に向けられ、小銃の引き金には、右手の人差し指が添えられていることである。

 写真2:7人もの護衛兵に守られる金正恩

 銃口が下に向けられているのは、移動時の持ち方なので、特異ではないようだが、この射撃訓練という状況において、その銃口が射撃する特殊部隊兵の近くに向けられているのは、万が一、射撃訓練をしている特殊部隊兵が起き上がって、金正恩氏に銃を向ければ、即座に撃ち殺す態勢を取っているということだ。

 防弾チョッキを身に着けているので、金正恩氏の盾にもなる。トランシーバーは、異常があった場合に待機している護衛兵を呼ぶためだろう。

 私はこれまで、完全武装し即座に銃を撃てる護衛兵を、それも数多くの護衛兵を金正恩氏の周りに配置したこのような写真は見たことがない。

 なぜ今、このような写真を撮って公表するようになったのか、そこには特別な意味があるように思える。