ガザでポリオワクチン接種開始 イスラエルは「休戦」認めず

AI要約

パレスチナ自治区ガザでポリオ感染拡大防止のためのワクチン接種が始まり、WHOなどが指導する取り組みが進行中。

イスラエルとハマスの停戦合意により接種が行われているが、イスラエルは攻撃を継続する姿勢を見せており、状況が不透明。

一方でイスラエル軍はガザ南部で6人の人質が殺害された遺体を発見、バイデン米大統領も非難の声を上げている。

【カイロ=佐藤貴生】パレスチナ自治区ガザで1日、世界保健機関(WHO)によるポリオ(小児まひ)の感染拡大防止に向けたワクチン接種が始まった。英BBC放送(電子版)が伝えた。イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスは接種期間中、ガザでの戦闘の一時休止で合意しており、合意が履行されるかが接種の成否を左右する。

対象は10歳未満の約64万人で、WHOなど国連関連機関はうち9割以上の接種実現を目指す。中部、南部、北部で3~4日ずつ、順次移動して午前6時から午後3時まで接種を行い、4週間後をめどに2回目も実施するとしている。

イスラエル首相府は「停戦という報道は誤りだ」とし、接種を促進するため1日数時間の「人道回廊」を設けるだけだとする声明を出した。攻撃を継続する意思を示したとみられる。ガザ保健当局は8月31日には域内で少なくともパレスチナ人61人が殺害されたと発表した。

一方、イスラエル軍は1日、エジプトと境界を接するガザ南部ラファの地下トンネルで、人質6人の遺体を発見したと発表した。報道官は発見直前に殺害されたとの見方を示した。少なくともうち1人は米国系で、バイデン米大統領は「ハマスに犯罪の代償を支払わせる」と非難した。