どこで食べても安くておいしい中華料理...世界中を飛び回ったからこそ語れる、コスパのウラにある「笑えない事情」

AI要約

関中華料理店を訪ね歩き、世界中の華人たちの生活やアイデンティティを追求した『地球上の中華料理店をめぐる冒険』シリーズの第25回。

著者と訳者が対談し、海外で生活する華人の中華料理店にまつわる興味深い話や珍しい事例について語る。

華人が中国文化や中華料理を世界に広める過程や、チャイナタウンの歴史について探る。

どこで食べても安くておいしい中華料理...世界中を飛び回ったからこそ語れる、コスパのウラにある「笑えない事情」

北極圏にある人口8万人にも満たないノルウェーの小さな町、アフリカ大陸の東に浮かぶ島国・マダガスカル、インド洋の小国・モーリシャス……。世界の果てまで行っても、華人経営の中華料理店はある。彼らはいつ、どのようにして、この土地にたどりつき、なぜ、どのような思いで中華料理店を開いたのか。そんな疑問を抱いて、世界に離散する華人の象徴とも言うべき中華料理店を訪ね歩き、一国一城の主や料理人、家族、地元の華人コミュニティの姿を丹念にあぶり出したのが、関卓中(チョック・クワン)著、斎藤栄一郎訳『地球上の中華料理店をめぐる冒険(原題:Have You Eaten Yet?)』だ。

旅をしながらドキュメンタリーフィルムを撮り、それを書籍化した著者のクワン氏。

1年の半分を海外で過ごしながら、翻訳家・ジャーナリストとして仕事をこなす訳者・斎藤氏。

旅と食と言葉をテーマに、著者と訳者の対談記事をお届けする。

『地球上の中華料理店をめぐる冒険』連載第25回

『「インタビューは必ず現地語で」やる...中華料理を通じて世界中の華人たちの「アイデンティティ」を追いかける著者が取材方法にこだわる納得のワケ』より続く

斎藤:世界に離散した華人たちが新天地に持ち込んだのが、中国文化、とりわけ中華料理です。

クワン:今は事情が変わってきていますが、言葉ができなくて手っ取り早い仕事は、料理、仕立て屋、床屋でした。なかでも食べ物屋は始めやすいし、おいしいかどうか現地の人にはわからない(笑)。

斎藤:有名レストランでも、スタートは屋台だったという店もありますね。

クワン:中国から北米、中南米をはじめ、世界に散らばった人々は、主に中国南部の広東語圏の出身者でした。こうした人々が世界各地で助け合って生きるために身を寄せ合ったのが、チャイナタウンの原点なんです。私が住むトロントのチャイナタウンも同じで、広東語が飛び交っています。