昼はコスプレ、夜はサイクリング:600歳の故宮で楽しむ「北京スタイル」

AI要約

北京の故宮(紫禁城)でのコスプレ熱が続く中、観光客は明清時代の衣装や古典衣装を着て楽しんでいる。

故宮は国内外の観光客に人気が高く、新たな楽しみ方も生まれており、古典衣装撮影ビジネスも活気づいている。

夜には自転車で故宮周辺をサイクリングすることも人気であり、観光客にとって特別な体験となっている。

昼はコスプレ、夜はサイクリング:600歳の故宮で楽しむ「北京スタイル」

【CNS】「見て、皇帝が来た!」北京市の猛暑の中でも、故宮(紫禁城、Forbidden City)でのコスプレ熱は冷めることがない。故宮内やその周辺の通りでは、明清時代の衣装、特に皇室の服を着た観光客が至るところに見られる。

 2024年上半期、北京は約165.82万人の外国人観光客を迎え、前年比245.6パーセント増加した。最近、「北京中軸線」(都市の東西対称に配置された建物の軸線)が世界遺産に登録され、北京観光がさらに盛り上がっている。故宮は中軸線の極めて重要な位置にあり、国内外の観光客から高い人気を集めている。しかし、1420年に建てられ、600年以上の歴史を持つ故宮の楽しみ方は、ただの観光に留まらず、さまざまな新しい楽しみ方が生まれている。

 故宮は明清時代の皇居で、24人の皇帝がここで生活し、国政を執り行った。故宮は紫禁城とも呼ばれ、皇帝時代には一般市民が足を踏み入れることが難しかった。しかし、今ではこの百年近く公開されている宮殿で、一部の観光客は明清時代の衣装を着て、没入型体験を楽しむことを選んでいる。さらに、人気ドラマ『甄嬛伝(邦題:宮廷の諍い女)』などの宮廷ドラマの名場面を再現するために古典衣装を着る観光客もいる。

「暑くても着るべき。故宮に来たらやっぱり格格服(宮廷衣装)を着てこそ、北京らしさがある」と語るのは、山東省(Shangdong)から来た路(Lu)さん。彼女は何度も北京を訪れているが、今回は抖音(Douyin)で見かけた宮廷服に一目惚れしたという。彼女は「他の古装は古い建物がある場所ならどこでも撮れるが、格格服は北京、特に故宮でしかその雰囲気が出ない」と感じている。

「この衣装を着て故宮を回ると、とても雰囲気があって写真映えする」と語るのは、白とピンクの格格服を身にまとった張(Zhang)さん。「たくさんの外国人が一緒に写真を撮ってくれと頼んでくるのよ」と笑う。

 華やかな清朝の衣装やさまざまな漢服、中国風スカート「馬面裙(Horse Face Skirt)」など、これらの衣装を身にまとった観光客自体も故宮の一つの風景となっている。今年3月、『DUNE/デューン 砂の惑星』のドゥニ・ヴィルヌーヴ(Denis Villeneuve)監督も、故宮を訪れた際に赤い格格服を着た観光客と記念撮影をしていた。

 こうした観光客のニーズは、古典衣装撮影ビジネスをも活気づけている。故宮では商業撮影を禁止しているため、周辺の店舗が観光客にヘアメイクと衣装を提供し、観光客は自分で撮影したり、故宮の周辺でカメラマンに撮影を依頼したりしている。「300~500元(約6180円~1万300円)でヘアメイクと衣装がすべて揃い、特別な記念になるので、お得だと思う」と路さんは話す。

 昼間は古装を着て故宮を楽しんだ観光客は、夜になると軽装に切り替えて故宮周辺をサイクリングすることができる。中国でシェアサイクリングが普及するにつれて、夜間の故宮周辺を自転車で回ることも新たな観光の楽しみ方として定着してきた。中国の人気SNS「小紅書(Red)」では、「故宮サイクリング」というキーワードで数万件の投稿が検索できる。

 北京に住む9歳の川川(Chuan Chuan)君は、よくお父さんと一緒に故宮周辺を自転車で回る。彼らのルートは天安門(Tiananmen)東の東華門から出発し、午門前を通り、西華門へと続く。「西華門の近くはとても静かで、護城河と故宮の城壁の間を自転車で走ると、特別な感じがする」と川川君は言う。

 川川君にとって、故宮の周りをサイクリングするのは特別な体験だ。倪(Ni)さんもまた、夜に故宮周辺をサイクリングしてリラックスすることを楽しんでいる。倪さんは夜に故宮周辺をサイクリングしてリラックスするのが好きだという。「このルートは長くなく、サイクリングで疲れないし、涼しい風が吹くと特に爽快な気分になる。ただ、時々サイクリングする人が多くて少し混雑することがある」と話している。

 故宮を巡るサイクリングルートは、天安門、中国国家大劇院(National Centre for the Performing Arts)、北海公園(Beihai Park)白塔、景山公園(Jingshan Park)などの北京のランドマークや観光地を通り、その多くは「北京中軸線」の重要なポイントでもある。倪さんは、「通り過ぎるのは歴史的文化的建築物が多く、都市の繁栄を感じられると同時に、文化的な雰囲気と歴史の重厚感がある。とても北京らしい」と語っている。(c)CNS/JCM/AFPBB News

※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。