【英国】R&D税控除の悪用、41億ポンドの税収減に

AI要約

英国の企業の研究開発(R&D)費を対象とした税控除制度の誤用や悪用により、2020年以降に41億ポンドの税収が失われていたことが判明した。

税務アドバイザーが企業に対してR&D費用控除制度を利用した税控除申告を勧める中、誤用ケースも発生している。

リーブス財務相が財源不足を指摘し、今年度には歳出を緊急削減する方針を発表した。

 英国で企業の研究開発(R&D)費を対象とした税控除制度の誤用や悪用により、2020年以降に41億ポンドの税収が失われていたことが判明した。英歳入関税庁(HMRC)の年次報告書で明らかになった。

 英国では20年に、中小企業向けと大企業向けのR&D費用控除制度がそれぞれ導入された。24年4月からは両制度が一本化され、赤字の零細企業向けの優遇制度も追加で設置されている。

 BBC電子版によると、一部の税務アドバイザーが企業への電話セールスで、これらの制度を利用した税控除申告を勧めている。中には、飲食店のビーガン向けメニューや窓ふき業者のバケツ台の費用がR&D費として申告されたケースもあるという。

 HMRCは、同制度の誤用・悪用の規模は「容認できない」とした上で、違反摘発に取り組んでいると強調。20/21年度にはこれらの制度を利用した税控除額の6分の1が誤用や悪用によるものだったが、違反摘発の担当者を100人から500人に増やした結果、22/23年度には違反率が13.3%に、23/24年度には7.8%に低下したと説明している。

 リーブス財務相は7月末、保守党前政権から引き継いだ今年度予算に220億ポンドの財源不足があると指摘し、今年度に55億ポンドの歳出を緊急削減する方針を発表したばかりだった。