【解説】ハマスのトップが暗殺されたいま、ガザでの戦争は「激化する可能性」が高い

AI要約

7月31日、イランの首都テヘランで、ハマスの最高幹部イスマイル・ハニヤ政治局長が爆弾により殺害された。

同日、レバノンでヒズボラの司令官もイスラエルの空爆で殺害された。

ハニヤはテヘランのゲストハウスで爆弾が仕掛けられている間、就任式に参加していた。

モサドがハイテク装置を使いイスラエルによる暗殺を実行した。

ハニヤの生い立ちや活動経歴、家族についても言及されている。

【解説】ハマスのトップが暗殺されたいま、ガザでの戦争は「激化する可能性」が高い

7月31日、イランの首都テヘランで、イスラム組織ハマスの最高幹部イスマイル・ハニヤ政治局長(62)が殺害された。

レバノンの首都ベイルートで、同国に拠点を置く親イラン武装組織ヒズボラの司令官であるフアード・シュクルが、イスラエルの空爆によって殺害された数時間後のことだった。

事件が起きた当初は、上空からのミサイルで殺害されたと思われていた。だが米紙「ニューヨーク・タイムズ」によれば、ハニヤを殺したのは爆弾だ。

ハニヤはイラン大統領の就任式のためにテヘランを訪れ、革命防衛隊が警備するゲストハウスに滞在していた。この寝室に、2ヵ月も前から爆弾が仕掛けられていたという。

米メディア「アクシオス」は、これは「人工知能を利用したハイテク装置」だったと報じている。ハニヤが部屋にいるとの情報を得て、イラン領内にいたイスラエル諜報機関「モサド」の工作員が起爆スイッチを押した。

「イランの指導者らは、イスラエルに対する厳しい報復を誓っている」とカタールメディア「アルジャジーラ」は報じている。

ニューヨーク・タイムズによると、ハニヤはガザ北部のシャティ難民キャンプの生まれだ。1948年のナクバにより、現在のイスラエルの都市アシュケロンにあった自宅から追い出された両親のもとで生を受けた。

1988年、ハマスの創設メンバーの一人だったハニヤは、イスラエルに対する民衆蜂起「インティファーダ」に参加したとして逮捕される。彼は1992年、今度はガザ地区から、当時のイスラエル軍が占領していたレバノン南部へ追放された。

ハマスの政治指導者に任命されたのは2017年のこと。これを受け、ハニヤはカタールへ移った。ガザ地区内では、2023年10月のイスラエルに対する攻撃の首謀者の一人とされるヤヒヤ・シンワルが指導者の立場となる。

イスラエルとハマスの戦闘が始まって以来、ガザで暮らしていたハニヤの息子3人と孫数人が、そして彼の妹とその家族が、イスラエル軍の攻撃によって命を落としている。