「このサイトは100%AI不使用です」というラベルは、クリエイターを救うのか?

AI要約

人工知能によるコンテンツやサービスが急速に増加しており、技術が身近な存在となっている。一方で、人間のクリエイティブを守るために「AIフリー」を主張する人たちもいる。

企業や消費者の間でAIに対する不安や抵抗が高まっており、企業もその反応に応えた広告キャンペーンを展開している。AIによる失業や悪用の懸念、製品の不備などが影響を与えている。

一部の企業がAIを使用しないことをPRし、消費者の不安に対処する動きも見られる。AIに対する反発を背景に、新たな市場が生まれつつある。

「このサイトは100%AI不使用です」というラベルは、クリエイターを救うのか?

生成AIが瞬く間に身近なものとなり、ネットやSNSでは人工知能によるコンテンツやサービスが爆発的に増えた。AIが作り出したものから逃れることは難しいと言えるだろう。そんななか、人間のクリエイティブを守るために「AIフリー」を掲げる人たちがいるという。

アップルがiPhoneに生成AIを搭載する計画を発表した時点で、それはこう言ったも同然だった──このテクノロジーはもはや避けられないものとなった、と。

大規模言語モデルは間もなく世界中のスマートフォンの大半に搭載され、メッセージングアプリやメールアプリで画像や文章を生成するようになる。AIはすでに検索エンジンのグーグルやビングに使われている。

800億ドル規模の新興企業であるオープンAIは、アップルやマイクロソフトと提携しており、まるで偏在しているかのようだ。同社のChatGPTやDALL-Eが自動生成するプロダクトは、どこにでもある。

そしてこれを問題視する消費者が増えているのだ。

テクノロジーがこうした論争や、消費者の不安のなかで台頭すること、あるいは台頭せざるを得なくなったことは、稀である。

たしかに米国人のなかにはAIに期待を寄せる者もいるが、たとえば最近の調査では、回答者の過半数がAIによって失業者が増えることを懸念していると答えた。また別の調査では、来る大統領選挙を妨害するためにAIが悪用されるだろうと、4人に3人が答えている。

それに、多くのAI製品が人々をがっかりさせた。グーグルが発表した「AI Overview」は大失敗だった。この新しいボットはユーザーに対し、ピザに糊を加えましょうと指示したり、毒キノコを食べても安全だと言ったりした。

一方で、オープンAIはスキャンダルの渦中にいる。物議を醸す秘密保持契約で元従業員を激怒させ、音声アシスタント製品のために、世界的に有名な俳優の声を無断で使った疑惑がある。

AIの普及に対する抵抗の多くはこれまでのところ、監視団体や、疑念を持っている市民、そして仕事の心配をするクリエイターたちによるものだった。だがいま、消費者たちがこのテクノロジーに反発しはじめている──それを利用する市場も生まれるほどに。

「本当の美しさを表現するうえで、最大の脅威のひとつは、人工知能です」。4月に発表されたダヴのプレスリリースで、同社はそう宣言している。

ボディケア商品を展開するダヴは、「Real Beautyキャンペーン」の20周年を祝っていた。このマーケティング活動では、あらゆる立場の女性をデジタル加工なしで紹介してきた。そしてダヴはこのたび、「生身の女性を表現する際にAIを使用しない」ことを約束したのである(こうした声明を出す最大の目的はもちろん宣伝であり、ダヴはそれに成功している。称賛の見出しが次々打たれた)。

同じ頃、カード会社のディスカバーが打った、明らかに反AI的なCMを見た人もいるかもしれない。「あなたたちロボットは日に日に人間らしくなっているわね!」と、ジェニファー・クーリッジがコールセンターの従業員に言う。すると従業員は「ディスカバーでは、誰もが人間の担当者と話すことができます」と答える。

上述はそれぞれユニリーバの持つブランド、そして大手クレジットカード会社であり、つまり、私たちが道徳的な思想の明確さを求めるような組織ではない。だが彼らの広告は、世間の不安に応えている。

そしてこうした動きは、企業の広告キャンペーンにとどまらない。「生成AIに幻滅した消費者」を顧客とする新企業が、設立されているのだ。