《ブラジル》国際交流基金=笹尾副岳所長が離任=後任に佐藤吉樹さん

AI要約

笹尾岳さんが離任する際、アニソンダンスの普及や日本文化の振興に貢献したことを振り返り、地元の祭りや先住民族との交流を通じて感動を得たエピソードを語る。

ブラジルでの滞在について、日本人への友好的な態度や安全面のリスクに触れつつ、日伯文化連盟の特命理事に就任し、今後も日本とブラジルの架け橋となる意向を示す。

後任の佐藤吉樹さんは初の南米勤務で、現地の雰囲気に柔軟に対応していく姿勢を表明している。

《ブラジル》国際交流基金=笹尾副岳所長が離任=後任に佐藤吉樹さん

 国際交流基金サンパウロ日本文化センター副所長の笹尾岳さん(36)が離任するに当り、所長補佐として着任した後任の佐藤吉樹さん(34歳、鳥取県)と14日、離着任挨拶のため本紙編集部を訪れた。

 笹尾さんは3年半前に着任。当時はコロナ禍の真っ只中で「ノウハウの無い中でオンライン事業を展開し、まさに暗中模索の日々でした」と悪戦苦闘した日々を振り返った。

 力を入れたのはアニメソングダンス(アニソンダンス)の普及で、「K―Popに次ぐ、次世代青少年向けダンスコンテンツにする」と「クールジャパン」の確立に尽力した。地方の日本祭りにも20回以上足を運び、アニソンダンスの地方展開を支援。漫画の寄贈やVR体験も実施し、日本のポップカルチャー文化普及に励んだ。

 印象深い思い出として、アクレ州で新設された日系団体の存在を挙げ、「彼らの祖父母や父母をリスペクトする方々の熱量に感動した」と話す。また、マナウスの日本祭りで交流した先住民族が、その文化を継承しつづけていくため、政府からの支援に頼りきりにならないよう、観光収入などの拡充に力を入れていることも印象に残っているという。

 ブラジルについては、「日本人やアジア人への偏見が無く、日本の駐在員にとって、とても生活しやすい国」と述べ、滞在を通じてブラジルのことが好きになった。長女(6歳)が「日本に帰っても、またすぐにブラジルに戻りたい」と言っているのを聞き、感動したと語った。

 一方で、車の窓ガラスを割られてスマートフォンを盗まれたり、腰に結び付けていたスマホを引っ張られて路上を引きずられた経験もした。これらの体験を経ても、「充実した日々でした」と語った。

 離任後も日本のポップカルチャーを通じてブラジルとの関わりを維持し続けたいという思いから、本紙を刊行する「ブラジル日報協会」のJポップカルチャー・メディア芸術編集顧問と、日伯文化連盟(アリアンサ)のJポップカルチャー及びメディア芸術特命理事に就任した。「アニソンダンスが、ミス日系大会やコスプレ大会のようなイベントに成長して欲しい。帰国後もブラジルと日本の架け橋となれるよう励みたい」と語った。

 後任の佐藤さんは初の南米勤務。日本語事業分野を担当し、「笹尾さんのように現地の雰囲気に馴染んで柔軟にやっていきたい」と意気込む。

 ブラジルの印象については「先輩からブラジルの人々は、街中で気軽に挨拶をしてくれたり、道の案内もしてくれる、特に家族や子供にやさしい国だと聞いています」と語った。

 趣味は米国や英国のパンクロック。昔は地下のライブハウスにも通っていたほどの音楽好きだ。