性的な写真を使った「ゆすり」が急増 その最大のターゲットとなっている“意外な人たち” 最新の報告書で明らかに
10代の少年たちを狙ったセクストーションの増加について報告書が示す
DMを通じて性的な画像を要求し脅迫する手法が急増しており、犯罪の背景も明らかに
被害者への影響が深刻化し、SNSプラットフォームの対応にも改善が求められている
セクストーションの最大のターゲットになっているのが「10代の少年たち」であることが最新の報告書によって明らかになった。
セクストーションとは「セックス(性)」と「エクストーション(恐喝、ゆすり)」を組み合わせた造語で、近年ソーシャルメディアを通じたこの悪質な犯罪が急増していると、米誌「ファスト・カンパニー」など各メディアが報じている。
6月24日に発表されたこの報告書は、米非営利テクノロジー団体「ソーン」と「国立行方不明・搾取児童センター(NCMEC)」が共同で作成したもので、2020~2023年にかけてNCMECに寄せられた1500万件以上の報告を調査している。
それによれば、被害者の90%は14~17歳の少年だった。
以前は、少女の被害者のほうが多かったという。
被害者の多くは、同世代の若い女性からソーシャルメディアを通じてDM(メッセージ)を受け取ったのをきっかけに加害者と会話をはじめている。打ち解けたところで加害者は、自らの性的な画像や動画を送り、「あなたのも見せて」などと誘導する。そして、性的な画像を受け取るや否や「家族や友人、フォロワーたちに共有する」と脅迫し、金銭を要求するというものだ。
同報告書はセクストーションを「要求に従わない場合、その人の性的画像を暴露すると脅すこと」と定義している。セクストーションは増加傾向にあり、2023年は週平均812件のセクストーションがNCMECに報告された。
これらのセクストーション計画の多くは、「ナイジェリアとコートジボワールの組織的ネットワークによって実行され、金銭を脅し取ることを目的としている」という。
彼らの犯行は「迅速かつ計画的におこなわれる」のが特徴だ。
DMを通じた最初のやり取りから被害者が誘導されるがままに性的な画像や動画を送ってしまい、脅迫されるまで、ほんの数時間である。
実際、2022年3月にセクストーションによって命を絶った、米ミシガン州在住の17歳の少年ジョーダン・デメイの事件も、加害者とやり取りを始めてから命を落とすまで「わずか6時間だった」と報じられている。
また、加害者のアカウントも、見るからにスパムであるものではなく、被害者と何人かの共通の知人がいるなど、怪しいかどうかの見分けが付きにくいものが多いようだ。
犯行に使用されるアカウントのほとんどは、何者かを装った偽アカウントやハッキングされたアカウントだったという。
このように「迅速かつ計画的であるため、被害の規模と速度が増大している」という。NCMECは、2023年だけでもセクストーションに関する報告を2万6700件以上受け取ったと発表している。
同報告書によれば、最も多くの犯行が実施されたプラットフォームはインスタグラムだった。他にも多いものとして、フェイスブックとYouTubeが挙げられている。
これらのプラットフォームがセクストーション事件をNCMECに報告するまでの期間は「平均7日間」だとされる。
研究者らは、自殺や自傷行為など被害者への影響が深刻になる可能性があると警告している。