「同時多発テロ」があったダゲスタンがロシアにとって重要な理由

AI要約

ロシア南部にあるダゲスタン共和国の2都市で6月23日、武装グループに襲撃があり、20人以上が死亡した。

襲撃者らはロシア正教の教会、ユダヤ教のシナゴーグ、警察の施設を標的にした。

ダゲスタンの地域情勢や歴史を踏まえると、今回の事件の背景がさらに明らかになる。

「同時多発テロ」があったダゲスタンがロシアにとって重要な理由

ロシア南部にあるダゲスタン共和国の2都市で6月23日、ロシア正教の教会やユダヤ教の礼拝所であるシナゴーグ、警察の施設が相次いで武装グループに襲撃され、少なくとも20人が死亡したと報じられている。

ダゲスタン内務相の発表によれば、現地時間の23日午後6時前、複数人の襲撃者が自動小銃で、デルベント市にあるシナゴーグと正教会を攻撃した。同じ頃、武装グループがダゲスタンの首都マハチカラ(デルベントの約125キロメートル北西)にある交通巡査の駐在所を襲撃した。

襲撃者らと警察当局が銃火を交え、マハチカラにあるロシア正教の大聖堂では猛烈な銃撃があったとも報じられている。ロシアの国家対テロ委員会は24日朝、ダゲスタンで対テロ作戦が開始されたと発表し、ほどなく作戦終了が宣言された。

カタールメディア「アルジャジーラ」は、ダゲスタンの重要性について、以下のようにまとめている。

・イスラム教徒が大多数を占めるダゲスタンには、50以上の異なる民族が暮らす。同共和国は「諸言語の山」「諸民族の山」としても知られている。

・ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ダゲスタンを含む北コーカサス地域を、ロシア国家への統合と忠誠のシンボルとして長らく掲げてきた。

・ダゲスタンはチェチェンと接してもいる。チェチェンには長らく一触即発の分離独立運動があり、ロシアは2つの紛争(第一次が1994~1996年、第二次が1999~2009年)をとおしてそれを潰そうとしてきた。チェチェンでのこうした緊張関係がときおり、ダゲスタンにも飛び火してきた。

・最近では、ロシアの連邦保安庁が、モスクワのコンサートホール襲撃をめぐり、ダゲスタンで4人を逮捕し、ロシアがこの地域での分離主義を懸念していることが示されている。