21世紀の戦争に投石機を使用したイスラエル…ヒズボラと全面戦争か

AI要約

イスラエルとレバノンのヒズボラ武装組織との武力衝突が激化し、全面戦争の可能性が高まっている。

ヒズボラとの葛藤が深まり、イスラエルとハマスの休戦交渉も難航しており、状況は緊迫している。

バイデン政権はヒズボラとの全面戦争を阻止するためにイスラエルに警告を発しており、中東情勢が不安定になっている。

21世紀の戦争に投石機を使用したイスラエル…ヒズボラと全面戦争か

最近、イスラエルとレバノン武装組織ヒズボラの武力衝突が激化し、全面戦争に拡大する可能性があると懸念されている。イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの休戦交渉に進展がない中、ヒズボラとの葛藤までが深まり、域内の緊張感が高まっている。

14日(現地時間)のウォールストリートジャーナル(WSJ)によると、イスラエル軍は投石機と似た装備を動員し、多数の火のついた球体をレバノン南部のヒズボラの拠点に打ち込んだ。これに対しイスラエル軍は「ヒズボラ戦闘員が隠れるために使用する薮を燃やして視野を確保するため」と説明した。

双方の交戦は11日のイスラエル側の空襲でヒズボラの高位司令官脱が死亡した後、激しくなった。ヒズボラは12日から2日連続でイスラエル北部の軍施設などを狙ってロケット数百発を発射し、攻撃用ドローンを送るなど報復した。昨年10月にヒズボラとイスラエルの衝突が始まって以降、最大規模の攻撃だった。

親イラン勢力のヒズボラは昨年、ガザ地区で戦争が始まると、ハマスとパレスチナを支援するという名分で国境が接するイスラエル北部地域を攻撃し始めた。にもかかわらず今まで全面戦争に飛び火しなかったのは「イスラエルはレバノン民間人を攻撃せず、ヒズボラはイスラエル領土に向けて発射しない」という暗黙的な「交戦規則」(1993年口頭意)があったからだ。しかし最近は双方の対立が強まり、いつ全面戦争になるか分からないという緊張感が高まっている。

イスラエルは現在、北部の住民約6万人を避難させ、軍人10万人を配置した状況だ。数万人以上のイスラエル住民が紛争のために家を出たのは史上初めてだと、米シンクタンクのワシントンDCアラブセンターは指摘した。

◆ヒズボラとの全面戦争、大規模な被害招く

双方の戦闘が最近激化した背景には、イスラエル軍がガザ地区で「ハマス殲滅」という目標を達成できないためという分析も出ている。ワシントンDCアラブセンターは「イスラエルは数十年間にわたり圧倒的な武力を行使して国境を防御してきたが、ガザ地区の戦争が終わらず、そのために危機を迎えた」と説明した。

ハマスを強く攻撃すれば北部のヒズボラも停滞したが、ガザ地区で戦争が続く中、ヒズボラも挑発をやめないという説明だ。イスラエルの立場では「抑止力確立」のためにヒズボラに強硬対応をするべき状況という分析だ。ニューヨークタイムズ(NYT)は「多くのイスラエル当局者がヒズボラとの全面戦争が時間の問題とみている」と伝えた。

双方の衝突が全面戦争に拡大する場合、イスラエルという「外部の敵」を利用してレバノンで権力を強めてきたヒズボラもこの戦いを避けることができない。このため「レバノンの歴史上最も危険な時期が近づく」という見方がある。

兵力と火力の面でヒズボラはハマスよりはるかに強いと評価される。このため全面戦争となる場合、イスラエル軍の被害も少なくないと予想される。

NYTは「ヒズボラはハマスはもちろん、イエメンのフーシ派、イラクとシリアのシーア派民兵組織など、いわゆるイランが支援する『抵抗の枢軸』の核心」とし「戦争の被害は(ガザ地区戦争とは)比較にならないほど大きくなるはず」と診断した。続いて「結局、ハマスとの休戦だけがヒズボラを落ち着かせる方法だが、イスラエル極右勢力は政府にレバノン侵攻をそそのかしている」と懸念した。

◆米国、イスラエル-ヒズボラ全面戦争阻止に注力

こうした中、バイデン米政権が焦りを感じている。米国は先月、ハマスに新しい「3段階休戦案」を提示したが、ハマス側が停戦(永久休戦)を前提にするべきという従来の立場を曲げず難航した。イスラエルがもう一つの全面戦争を起こす場合、中東状況は手を付けられない状況になるというのが米政府の分析だ。

米インターネットメディアのアクシオスは「ヒズボラと全面戦争になれば、イランはもちろんシリア、イラクまでが介入し、米国はこの紛争にさらに深く引き込まれるだろう」とし「バイデン政権はレバノンでの紛争を拡大しないようイスラエルに警告している」と報じた。

バイデン政権は17日、アモス・ホッホシュタイン米ホワイトハウス中東問題補佐官をイスラエルに特使として派遣する予定だ。アクシオスは「ホッホシュタイン補佐官はイスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相に会ってヒズボラとの緊張緩和について議論する予定」とし「レバノンを訪問して当局者と会う可能性もある」と伝えた。