ニューヨークなどで往復5時間かける「スーパー通勤」が急増(海外)

AI要約

新たな調査によると、スーパー通勤者が急増しており、片道120km以上を通勤する労働者が増加している。

ハイブリッドワークや都市部の住宅費の高騰により、労働者はより遠くの場所から通勤する傾向がある。

自動車データをもとにした分析では、新型コロナウイルスのパンデミック後に長距離通勤者が増加していることが示されている。

ニューヨークなどで往復5時間かける「スーパー通勤」が急増(海外)

120km以上の距離を通勤する「スーパー通勤者」が増加している。

ハイブリッドワークと都市部の住宅費の高騰により、労働者たちは都市部から離れた場所に住むようになってきている。

ニューヨーク、ロサンゼルス、ワシントンDCでは、新型コロナウイルスのパンデミック以降、スーパー通勤者が大幅に増加している。

アメリカ人たちは職場に向かっているが、彼らの道のりはおそらくまだ先が長いだろう。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が最初に報じた新しい調査結果によると、スーパー通勤者(Supercommuter)、つまり仕事のために片道75マイル(約120km)以上を通勤する労働者たちが増えているという。彼らが通勤に費やす時間は合計1日5時間近くにもなる。ハイブリッドワークによって自宅を置く地域が拡大するにつれ、より多くの労働者が長時間の通勤をいとわなくなってきている。

新型コロナウイルスのパンデミック以来、長い道のりを通勤するアメリカ人の数は急増している。スタンフォード大学(Stanford University )のエコノミスト、ニック・ブルーム(Nick Bloom)とアレックス・フィナン(Alex Finan)は、自動車データソフトウェア会社INRIXのGPSデータを使用し、アメリカの主要都市での約20万回の移動を含む片道75マイル(約120km)以上を通勤するスーパー通勤者の割合がパンデミック後に32%増加し、総移動の2.9%を占めていることを明らかにした。なかには午前3時に出発して片道5時間もかけ通勤している人もいることが分かった。

さらに全米の10大都市では、片道40マイル(約64km)以上の通勤の割合がここ数年で増加し、全体の18.5%を占めることが分かった。この傾向はすべての平日で一貫している。

ブルームとフィナンは、2019年11月から2020年2月までのデータと2023年11月から2024年2月までのデータを比較した。彼らは通勤を、ダウンタウン以外の場所から出発して午前7時から10時の間にダウンタウン地区で移動が終了することと定義した。

ブルームとフィナンによると、多くの人が都市部から郊外に移り住み、オフィスへの出勤が減っているため、スーパー通勤者となるのが一般的になっているという。WFHリサーチ(WFH Research)が作成した「勤務形態と態度に関する調査(Survey of Working Arrangements and Attitudes)」によると、パンデミック前とパンデミック後では在宅勤務が約5倍に増加しているという。

長距離通勤の唯一の明るい材料は、在宅勤務が間接的に交通量を減らすのでパンデミック前と比較すると移動時間が短縮される場合が多いことだ。ブルームとフィナンによると、この期間に交通速度は約10%向上したという。

スーパー通勤者が多い都市もあれば、そうでない都市もある。ニューヨーク市ではスーパー通勤者が89%急増し、すべての通勤の1.9%から3.6%になった。ロサンゼルスでは35マイル(約56km)以上の通勤者が20%増加し、ワシントンDCではスーパー通勤者が100%増加した。アリゾナ州フェニックスでも近年新しい居住者が急増し、その結果、住宅費が高騰しており、スーパー通勤者が57%増加した。

アメリカで最も物価の高い都市のいくつかでスーパー通勤者が急増しているのは、リモートワークの増加とより広い土地への需要が一因だ。新型コロナウイルスがアメリカの大部分をシャットダウンしたとき、何百万人もの人々が突然、狭いアパートだけで一生を終えることに直面し、大きな家の需要が急増した。

また、エコノミック・イノベーション・グループ(Economic Innovation Group)のレポートによると、都市部では彼らの需要を満たせるだけのファミリーサイズのアパートが不足しているため、幼い子どものいる家族の多くがパンデミック中に大都市から逃げ出したという。ブルームと給与計算会社グスト(Gusto)の過去のデータでは、30歳から34歳の労働者は、パンデミック前と比べて職場からの距離が倍以上になっている。