「新幹線無賃乗車」ユーチューバー、欧州議会選で当選 キプロス

AI要約

キプロスで実施された欧州議会選挙で、悪ふざけ動画で知られるユーチューバー、フィディアス・パナイオトゥ氏が24歳で当選した。

パナイオトゥ氏は260万人の登録者数を持ち、政治経験もない無所属候補だったが、若年層からの支持を受けて19.4%の得票率で当選を果たした。

専門家は、パナイオトゥ氏の当選が既存政党の乖離とソーシャルメディアの影響力に対する警鐘となる可能性があると指摘している。

【AFP=時事】キプロスで実施された欧州議会(European Parliament)選挙で、無所属で立候補した悪ふざけ動画で知られるユーチューバー、フィディアス・パナイオトゥ(Fidias Panayiotou)氏(24)が当選した。

 フィディアス名義で260万人の登録者数を持つ同氏は、実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏ら著名人100人とハグする企画や、ピザの早食いコンテストへの出場、日本での新幹線への無賃乗車、ひつぎの中で1週間過ごすチャレンジ、中国の少林寺(Shaolin Temple)への入門体験などの動画などで知られる。

「ミスを犯すプロ」を自称するパナイオトゥ氏は、政治経験もなければ、政党からの推薦や支持もない。先週末の欧州議会選で自身に投票するよう若年層に呼び掛け、得票率19.4%で予想に反して当選を果たした。従来の政治にノーを突きつけたい有権者の支持を集めたものとみられる。

 パナイオトゥ氏は自身の当選について「各政党は、自分たちが現代に合わせてアップデートし、国民の声に耳を傾けなければならないという警告として受け止めるべきだ」とX(旧ツイッター)に投稿された動画で国営キプロス放送に語った

 ニュースサイト「Philenews」は、同氏の躍進は既成政党への「明確な」メッセージであり、「政界再編」に向けた大きな一歩だと指摘。

「この若きユーチューバーは、ソーシャルメディアをフル活用し、政治家が用いるレトリックを使わず、政治的な立場もなく、欧州連合(EU)圏に関する知識もなく(この点は本人も認めている)、大波乱を起こした」と評している。

 専門家は、包括的な政策課題を持たないパナイオトゥ氏の存在により、既存政党が有権者から乖離(かいり)し、ソーシャルメディアとその影響力を理解していないことが浮き彫りになったと指摘している。【翻訳編集】 AFPBB News