【ブライトン戦現地レポート】 南海岸に訪れた別れ…名将のラストダンスが物語るブライトンの魅力とは

AI要約

36歳のベテラン選手アダム・ララーナとブライトンが別れる決断を下した理由について

その決断に至った背景と、ラストダンスとなった最終節の様子

イタリア人監督ロベルト・デ ゼルビがチームにもたらした独自のビルドアップ戦術とその影響

【ブライトン戦現地レポート】 南海岸に訪れた別れ…名将のラストダンスが物語るブライトンの魅力とは

ヨーロッパのシーズンが終わるこの時期は、欧州サッカーとの距離が近い人間にとって出会いと別れの季節だ。 この節目となる夏には多くの選手や監督、クラブ関係者が自身の進退について熟考し、決断を下す時間が十分にある。 御多分に洩れず、三笘薫の所属するブライトンでも、この夏に南海岸を去ることを決断した功労者たちがいた。

1人目は元イングランド代表アダム・ララーナ。 マージーサイドの名門リヴァプールで活躍したのち、2020-21シーズンからブライトンに加わった36歳のベテランは、最終節の1週間前に今季で満了となる契約を更新せず退団することを発表していた。 決断に至った最大の動機は、4年間離れて過ごした家族の存在だと本人は語る。

「ここ数カ月間、ロベルト(デ ゼルビ)とは話し合いを続けてきた。 彼は僕に残ってほしいと言っていたよ」

「でも、時間をかけてクラブの状況を考えてみたり、ここに来てからの4年間家族と離ればなれだったことを考慮すると、今が(クラブを離れる)ちょうどいいタイミングだと思ったんだ」

普段フィールドでその姿を見ることが多いサッカー選手にも、我々と同じように家族がいることを改めて思い出させてくれるようなコメントからは、彼の父親としての自覚も見てとれる。 若手主体のチームのリーダー格には残留を希望する声も多数あったが、この理由に反論する者はいないだろう。

そして2人目は他でもない、ララーナに残留を説得していたというロベルト・デ ゼルビ監督だ。 最終節前日に発表された退任の知らせは、多くのサポーターにとって寝耳に水だっただろう。 イタリア人指揮官がブライトンで過ごした2年間という月日は、監督としては特別長いものではない。 しかしそれは彼にとって、選手やサポーターの心をつかむのに十分すぎる時間だった。

彼がブライトンに持ち込んだ独特のビルドアップ戦術は、強豪ひしめくプレミアリーグを席巻。クラブ史上最高順位の6位でリーグ戦を終え、欧州大会への切符も手にした昨シーズンの躍進は記憶に新しい。感情を表に出すことをためらわないその個性はまさに「熱血」。感じたままに喜び、怒り、そして悔しがるまるで少年のような振る舞いは、ブライトンのシンボルの一つでもあった。

そんな2人のラストダンスとなった最終節のマンチェスター・ユナイテッド戦、ホームのアメックススタジアムは満員のサポーターで埋め尽くされた。 普段よりもひときわ熱のこもった「Sussex by the Sea」の大合唱の中心には、普段通りのララーナとデ ゼルビの姿があった。