【バドミントン】「パパのすごさ伝えられたら」保木卓朗&小林優吾組、パリで見せたい親父の勇姿

AI要約

保木卓朗と小林優吾組がパリ五輪男子ダブルス代表として選出された。

2人は家族との時間を大切にしながら、選考レースを乗り越えてきた。

パパたちの成長と子どもたちへの夢に向かって進む姿が描かれる。

【バドミントン】「パパのすごさ伝えられたら」保木卓朗&小林優吾組、パリで見せたい親父の勇姿

 “パパコンビ”が初の五輪で子どもたちへ勇姿を届ける。

 日本バドミントン協会は21日、都内で会見し、パリオリンピック(五輪)代表12人を発表した。男子ダブルス代表の「ホキコバ」こと保木卓朗、小林優吾組(トナミ運輸)はともに28歳で2児の父。福島・富岡第一中時代からペアを組み、花の都での大暴れを目指す。

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 「子ども、歩くようになった?」

 昨年5月から約1年に及んだパリ五輪の選考レース。保木と小林にとって、互いの子どもの話をする時間が何よりの至福だった。大会の合間を縫って2人でショッピングへ出かけ、子ども服を買いあさった日もある。

 小林が目を細める。

 「『中国に行くよ。また来週ね』みたいな話をしたら、子どもが妻に『パパは中国にいるんだよ』と言ったりしていて。ちゃんと聞いて理解してるんだな。すごいなって」

 保木も目尻を下げ、昨年6月に生まれた第2子の長女の成長をかみしめる。

 「最近はパパって理解してくれるようになって」

 もうすぐ1歳になる。この1年でできることが随分と増えた。

 そんな愛娘に負けぬよう、パパたちも成長してきた。

 2人は中学時代からペアを組み、富岡高3年時には全国高校総体を制覇。19年の世界選手権では準優勝を収めた。ただ、五輪への道のりは険しく、21年東京大会には届かなかった。

 その後、男子ダブルス代表が相次いで第一線を退くと、SNSでは「男子ダブルスは穴」という投稿を目にした。

 悔しくてたまらなかった。2人は誓い合った。

 「めちゃくちゃ悔しいな。見返してやろうぜ」

 結果に一喜一憂せず、時間があればトレーニングや技術力向上に努めた。21年12月の世界選手権を初制覇して勢いに乗ると、22年には同種目日本勢初の世界ランキング1位へランクイン。五輪選考レースでも日本勢トップを維持した。

 原動力となったのは、東京五輪後に味わったあの屈辱。小林は「あそこから変わることができた」とうなずく。

 悔しさを糧に、ついにパリ切符を手にした。

 「子どもはまだ、五輪を理解していないかな」

 保木はほほ笑みながら、力強く続けた。

 「でももう少し大きくなった時に、パパのすごさを伝えられたらいいな」

 今はきっと分からない。でもいつか、五輪で見た景色を伝える日のために-。

 この夏、パパコンビはパリで夢を追う。【藤塚大輔】