【ソフトバンク】独走キープのカギは「危機管理能力」 OB加藤伸一氏は〝主軸〟の起用法に注目

AI要約

ソフトバンクがパ・リーグで独走態勢を固める中、強さの理由と今後の戦い方について解説。

打線の1番打者問題の解消や先発投手の安定、選手とコーチ間の良好な関係がチームの強さに繋がっている。

チームをバテさせず、適切なメンバー管理を行いながら、リスクを分散させることが今後のキーポイント。

【ソフトバンク】独走キープのカギは「危機管理能力」 OB加藤伸一氏は〝主軸〟の起用法に注目

 パ・リーグで首位を走るソフトバンクが独走態勢を固めている。20日現在、2位・日本ハムとは今季最大の6ゲーム差まで広げており、貯金は今季最多の17。これほどの強さはどこからきているのか。球団OBの本紙評論家・加藤伸一氏に強さのワケと今後の戦い方のポイントを聞いた。

【インハイアウトロー・加藤伸一】打線で言えば、ここ数年の懸案だった「1番打者」問題を解決できたことが大きい。その1番に固定した周東が、これだけの出塁率(3割7分2厘)を残して塁上にいる機会が増えれば、バッテリーは当然神経を使う。その結果、配球に偏りが生じやすくなり後続の打者は的を絞ることができる。柳田、山川、近藤といったただでさえ高い技術を持った選手が狙い球を絞れば、仕留める確率も当然上がるというわけだ。1、2番が出塁しクリーンアップがかえす、今の打順の組み合わせは非の打ち所がない。

 投手陣では、開幕前の課題といわれていた先発陣がうまく機能している。特に今年から先発に転向した大津、モイネロが安定感のある投球を披露しており、期待通り、いや期待以上の働きをしている。

 層が厚いと言ってしまえばそれまでだが、小久保監督の組織作りも実を結んでいるようだ。選手と適度な距離感を取りながら、コーチに任せるところは任せる。そうすることでコーチにも責任感が生まれ、やりがいを感じられる。これが働きやすい環境へとつながっているのだ。結果として監督、コーチ、選手でいい関係性が生まれ、いい組織になっているといえるだろう。

 今これだけチーム状態がいい以上、大切になってくるのは「チームをバテさせない」ことだ。先発陣はさほど心配いらない。ローテーションを7、8人で回せている上、分業制により先発が完投することも少なくなった。これでバテていては中継ぎ陣に怒られてしまう。

 何より重要なのはクリーンアップの柳田、山川、近藤に1年間働いてもらうこと。1年間のコンディションを考えれば、時には指名打者で起用したり休ませたりする必要もある。ただし現場としてはいい流れで戦えている中で、下手にメンバーを動かしたくないもの。現にすぐにメンバーを動かす必要はない。今ある貯金を頭に入れ、しかるべきタイミングでうまくリスクを分散させる。それができるだけの戦力がある以上、首脳陣の〝危機管理能力〟が重要となってくる。(本紙評論家)