【西本聖】DeNAの野球に「厳しさ」感じず 隙だらけの守備では逆転Vの可能性しぼむ

AI要約

DeNAは厳しい条件下での引き分け試合を経験し、逆転優勝に向けての道が困難であることが明らかになった。

DeNAの守備面でのミスやピッチャーへの負担、選手個々のプレーの改善が必要であることが示唆された。

広島が負けたことでCS出場への可能性は残っているが、ミスを減らすことが勝利につながると強調された。

【西本聖】DeNAの野球に「厳しさ」感じず 隙だらけの守備では逆転Vの可能性しぼむ

<巨人2-2DeNA>◇18日◇東京ドーム

 混戦を極めるセ・リーグだが、最大のカギを握るチームといえば4位のDeNAだろう。この日の試合前までリーグで1番多い残り16試合で首位の巨人、2位の阪神とそれぞれ5試合を残していた。DeNAが逆転優勝するには厳しい条件が必要。それだけに痛い引き分けになった。

 DeNAの野球には「厳しさ」を感じない。3回裏無死一塁、坂本の投ゴロに対してのジャクソンの打球処理だった。緩い打球だっただけに、打った瞬間に併殺を諦めるのはいいが、目で走者をけん制せず、緩慢な動きで一塁に送球した。走者の丸はジャクソンの動きを見て、三塁を狙ったのだろう。相手の隙を突く、素晴らしい走塁だったが、ジャクソンのボーンヘッドだと言っていい。

 1死三塁となって、2番の吉川は一塁ゴロを放った。三塁走者がスタートを切っていたため、打球を処理したオースティンは本塁へ送球。挟殺プレーになったが、三塁走者の丸は粘りに粘った。丸の頑張りが大きいが、それにしてもDeNAの挟殺プレーはお粗末すぎる。丸はアウトになったが、挟殺プレーでモタついたため、打者走者は三塁までたどり着いた。

 DeNAの挟殺プレーを見ていると、自分で素早く走者を追ってアウトにしようとしているように見えない。セカンドの牧は2回2死一塁でセカンドライナーをグラブではじき(記録はヒット)、6回1死一塁でも遊ゴロでショートからの送球をグラブではじいてエラー。併殺プレーのはずが、大ピンチを作ってしまった。失点には結び付いていないが、ピッチャーへの負担は大きくなる。負けられない終盤戦が続くが、こういった隙だらけの守備力では、逆転優勝の可能性はしぼんでいく一方だろう。

 それでも3位の広島が負けたため、CS出場へのゲーム差は0・5縮まった。同じミスを繰り返さないようにしっかり反省し、頭の中だけでも整理していけばミスの確率は減る。技術力は1日で急激に伸びることは少ないが、プレーの前に状況を確認し、そのための準備さえしておけばミスの確率は確実に下がる。その積み重ねが、チームの成績につながっていくだろう。(日刊スポーツ評論家)