「(鎌田)大地くんが蹴っていいよ、と」“人のPKは奪わない”ストライカー・上田綺世が体現するものとは…「爆勝」バーレーン戦現地で本人直撃

AI要約

日本代表がW杯アジア最終予選で2連勝し、上田綺世が注目のキーマンとして活躍していることが紹介されている。

上田綺世はエゴイストとは異なり、アルトゥリストであり、チームプレイを重視している印象が伝えられている。

バーレーン戦でのPKを含む上田綺世のプレーから、彼の集中力や冷静さが窺える様子が描写されている。

「(鎌田)大地くんが蹴っていいよ、と」“人のPKは奪わない”ストライカー・上田綺世が体現するものとは…「爆勝」バーレーン戦現地で本人直撃

W杯アジア最終予選、7-0で中国を粉砕した開幕戦につづき、日本代表はバーレーンをも5-0と圧倒した。過去2大会で黒星スタートの記憶を完全に塗り替えた快勝劇のキーマンの一人は間違いなく、2試合で先発出場したストライカー、上田綺世だった。バーレーン現地取材から、その肉声をお届けする――。

 ストライカーは大概エゴイストで、たとえチームが勝っても自分がノーゴールだったら決して満足はできない。そんなイメージを持つ人は少なくないだろう。

 かつてアルゼンチン代表として活躍し、リオネル・メッシに抜かれるまで同代表のワールドカップ得点記録(10点)を持っていたガブリエル・バティストゥータは「ゴールがあるから蹴るんじゃない、俺が蹴るからゴールがあるんだ」と、何とも“らしい”名言を残した。ストライカーとはかくあるべしで、ピッチ上で最も選手が密集するペナルティーエリアの中で相手DFを出し抜き、ネットを揺らすのは、そんな傲慢さを持つからなのかもしれない。

 その点で言えば、日本代表の上田綺世は別の系譜に属するストライカーと映る。シュートへの貪欲さやペナルティーエリア内での怖さは同じでも、ステレオタイプのエゴイストというよりアルトゥリスト(利他主義者)だと感じる場面が多い。

 バーレーン戦でも、そんな姿が見られた。

 ボールを握りながらもチャンスをゴールにつなげられなかった日本に先制点が生まれた37分のシーン。遠藤航のスルーパスをペナルティーエリア右で受けた鎌田大地がやや浮かせて中央へ折り返すと、ボールはスライディングでクロスを阻みに来たDF、アブドゥラ・アルハラシの左手に当たり、PKを獲得した。

 納得のいかないバーレーンの選手たちが主審に説明を求める横で、上田は鎌田に近づき、声をかけた。そしてボールを抱えてペナルティー・マークの前にすっと立つと、VARチェックの間もひとり意識を集中させていた。

 バーレーンの選手たちはPK確定後も上田の周囲を取り囲むようにして動かず、GKのエブラヒム・ルトファラにいたっては主審に促されるギリギリまで目の前に立って集中を乱そうとした。

 だが、上田は微動だにせず。PKの直前にはスタンドのファンからレーザーポインターで妨害されたが、GKの動きを確認しつつ、集中し切った表情で右足を一振り。強烈なボールがゴール左に突き刺さった。

 PKキッカーはチームで決まっているのか、それとも自分で名乗り出たのか。試合後のミックスゾーンで本人に聞いた。