金メダリスト・堀米雄斗が明かす「奇跡の逆転劇」の瞬間 「喜びも安堵感もあった」

AI要約

堀米雄斗がパリ五輪で逆転劇を演じ、五輪連覇を果たす。最後のトライで大技を決めてメダルを手にした瞬間に喜びと安堵が交錯する。3年間の苦しみと挑戦を乗り越えた過程が明かされる。

東京五輪で初代王者となった堀米は、その後の3年間を「地獄」と表現。連勝から連敗への苦しい挑戦を経て、逆襲に成功する。自らを強くする過程を振り返る。

6歳からスケートボードに乗り、25歳の今も挑戦を続ける堀米。苦難を乗り越えた強さと成長を背景に、未来へのチャレンジが期待される。

金メダリスト・堀米雄斗が明かす「奇跡の逆転劇」の瞬間 「喜びも安堵感もあった」

 3年前の東京五輪に続き、パリ五輪でも栄冠を手にした。あの逆転劇はいかにして生まれたのか。AERA 2024年9月16日号より。

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 着地を決めた瞬間、一声大きく吠えた。その後の表情はうれしさをかみしめているようにも、こみ上げる思いをこらえているようにも見えた。パリ五輪スケートボード男子ストリート決勝。堀米雄斗は最後のトライであるベストトリックの5回目を前に7位とメダル圏外にいた。2回目から4回目まで、同じ技を連続して失敗。だが、土壇場で大技を決めて逆転、五輪連覇を果たす。

「5本目は振り切れたというか、自然と焦りはなくなって、今までにないくらいに集中できていました。着地した瞬間は乗れたことに対する喜びも、この3年間のキツさから解放された安堵感も、いろいろな感情がありました。点数はよくわからなかった。でも、早川さん(大輔コーチ)が叫びながら喜んでいるのが見えて、あぁやったんだなって」

 2021年の東京五輪で新競技の初代王者に。スケートボード界のスターは、一気に国中の注目を集めるようになった。だが、それからの3年間を堀米は「地獄」と表現する。滑りの感覚は悪くない。しかし、パリ五輪につながる予選会では点数が伸びなかった。今年6月まで、選考対象となる7大会で優勝ゼロ、表彰台もわずか1回。勝てない時期が長くなるにつれ、プレッシャーも大きくなる。連覇への信号は黄から赤に変わりかけていたが、6月の選考会最終戦で優勝し、かろうじて代表に滑り込んだ。苦しみぬいた3年間の末に得た栄冠。振り返って言う。

「地獄だったからこそ、それに向き合うことができた。自分も新しいステップに行けました。この3年間は、僕を強くしてくれたと思います」

 6歳で本格的にスケートボードに乗りはじめ、高校卒業と同時に本場・ロサンゼルスにわたって技を磨いてきた。いま、25歳。スケートボーダー堀米雄斗の挑戦はこれからも続く。(編集部・川口穣)

※AERA 2024年9月16日号