日本と中国を分けた“明暗” 代表OBが分析「及び腰でバラバラ」「正直、何をやろうとしているんだと」【見解】

AI要約

日本代表が大量得点で中国代表を下し、金田喜稔氏も絶賛する。

日本代表は過去の教訓を生かして見事なパフォーマンスを披露し、中国代表を圧倒。

中国代表は結果も内容も不十分で、劣勢の中無策に終始し、大敗を喫した。

日本と中国を分けた“明暗” 代表OBが分析「及び腰でバラバラ」「正直、何をやろうとしているんだと」【見解】

 森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング18位)は9月5日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の初戦で中国(同87位)と対戦し、大量7ゴールで初陣を飾った。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は日本を絶賛する一方、大敗した中国について「あの戦い方では勝ち目などない」「怖さは何一つなかった」と論じている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 近年の日本代表は、2018年ロシアW杯の最終予選初戦(埼玉スタジアム)でUAE代表に1-2、2022年カタールW杯の最終予選初戦(市立吹田サッカースタジアム)でオマーン代表に0-1と敗戦。当時オマーンを率いていたブランコ・イバンコビッチ監督が、今回は中国代表の指揮官として采配を振るうなかで綿密な策を講じてくると思われたが、終わってみれば7-0のゴールラッシュで日本が大勝した。

 金田氏は「パーフェクトと言っても過言ではなかったね」と、日本代表のパフォーマンスを絶賛する。

「近年、日本はアジア最終予選初戦で敗れるなど苦戦を強いられてきた。そうした過去の教訓を生かし、内容と結果を見事に両立させたゲームだった。もちろん中国の出来を差し引いて考える必要はあるが、それでも最終予選初戦で7ゴールの好スタートを切り、強さを見せつけたのだから脱帽だ」

 一方、日本に肩透かしをくらう形となった中国代表について、「チームとしてどうしたいのか全く見えなかった」と評する。

「日本は1人1人が良いところを発揮し、全員が輝いたゲームでもあった。一方の中国にとっては、内容と結果の両方で屈辱的なゲームだっただろう。経験豊富なブランコ・イバンコビッチ監督には、『過去、俺は日本を苦しめてきたぞ』という自負があったかもしれないが、まったく策を講じられなかった。特に劣勢の後半は為す術なしの状態で、失点後を重ねるごとに中国はどこか及び腰でバラバラ。あの戦い方では勝ち目などない」

 日本は3バックを採用し、左ウイングバック(WB)に三笘薫、右(WB)にMF堂安律を配置。2列目中央にMF久保建英とMF南野拓実、1トップにFW上田綺世を起用するサプライズ采配で驚きを与えた。あらゆる場所から仕掛ける日本に対して、中国はお手上げ状態だったと金田氏は分析する。

「中国は4バックでスタートし、後半は5バック。中央を固めながら攻め手を見出そうとしていたと思うが、チームとしての連動性に乏しかったし、攻撃も単発のロングボールぐらいで、ほぼ攻め手を見出せずに終わった。もっと練った戦術を仕掛けてくると思っていたが、なんてことはなかった。正直、何をやろうとしているんだ、という感じだったね。日本との実力差があることは事前にリサーチできていたはず。そんな日本に対して、劣勢になっても無策だった。いくらなんでもそれでは勝ち目などないだろう、というのが率直な印象だ。先制点を奪ったあとの日本は、攻めても追加点を決められない時間帯が少し続いたが、それでも中国の怖さは何一つなかった」

 試合後、イバンコビッチ監督は「準備をしてきたが、それでも日本は強い。個のクオリティーも高い選手が揃っていて、すべてが揃っている」「この高いインテンシティー(強度)の試合は、良いレッスンであり、経験を積む良い機会になった。ここから学んでほしい」とコメント。最終予選初戦で明暗が大きく分かれた。

[プロフィール]

金田喜稔(かねだ・のぶとし)/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。