今永昇太、交代時に初めてノーノー知り「えーっ?」もPO進出へ残り4試合の登板に全力
カブス今永昇太投手が3人の継投でノーヒット・ノーランを達成。
今永は7回無失点7奪三振で、チーム3年ぶりの偉業を達成。
才能豊かな今永は、プレーオフ進出への期待も高まっている。
<カブス12-0パイレーツ>◇4日(日本時間5日)◇リグリーフィールド
カブス今永昇太投手(31)が4日(日本時間5日)、本拠地パイレーツ戦に先発し、計3投手の継投でノーヒット・ノーランを達成した。
味方の3失策に苦しみながらも7回無失点7奪三振。8回はピアソン、9回をホッジが無安打に抑え、3人でチーム3年ぶりの偉業を達成した。今永はメジャー1年目で12勝目(3敗)。カブスは貯金を「4」とし、プレーオフ進出へ望みを残した。
◇ ◇ ◇
7回、95球を投げ終えた今永は、記録に気付いていなかった。初回、当初は三塁内野安打とされた打球が、その後、三塁失策に訂正。今永は自覚しないまま、投げ続けていた。ベンチで出迎えたカウンセル監督から「無安打交代」を告げられた際に「思わず『えーっ?』と声を出してしまった(笑い)」と初めて知った。一方で、監督の思いは即座に察した。
あと6アウト。DeNA時代の22年にノーノーを達成していた。日本であれば、続投を志願したかもしれない。ただ、今はメジャーの思考に順応していた。「まず今年1年間、健康な状態でシーズンを過ごすことが大事。僕はそういう考え。まったく同じ考えなので監督に従います」。初の日米ノーヒッターの冠に近づいていたが、完全に納得した上でマウンドを譲った。
21年の25試合を上回り、自己最多となる今季26試合目の先発だった。慣れない中4日を経験し、球宴にも選出された1年目。未知の領域に足を踏み入れた最終コーナーで、疲れがないはずはない。しかも、カ軍にはプレーオフ進出の可能性が残っており、残り4試合の登板が見込まれる。同監督の「次の試合も、その次の試合もいい状態を保ってもらいたい」との言葉は信頼の裏返し。個人記録にこだわる理由はなかった。
大量リードにも守られて、8回はピアソン、9回をホッジが完璧に封じ、3人によるノーヒッター劇が完成した。それでも、21アウトを奪い、主役を演じた今永は、救援陣をたたえた。「彼らの方が準備する段階から難しかったでしょうし、プレッシャーがかかる場面。すごくリスペクトの気持ちがある」。
プレーオフ圏内まで「4・5差」と望みは捨てていない。エース左腕スティールが故障離脱し、今永への期待値は一段と高まる。ただ、今永に無駄な気負いはない。「特にプレッシャーはなくて、どういう状況でもチームに勝つチャンスを与えなきゃいけないのは一緒。かといって、責任感を持たないわけでもない。いいバランスで過ごせていると思います」。今永登板日のカ軍は20勝6敗。自軍の勝利にこだわる「哲学」は、最後まで変わらない。
▽カブス・ピアソン(8回に登板し1回を無安打無失点)「彼(今永)がマウンドにいる時は、いつも本当に勝つチャンスがある。正直なところ、ノーヒッターは知らなかった。(マウンドへ)走っていた時、ブーイングが始まったから気がついたんだ」
▽カブス・カウンセル監督(今永交代について)「こういう状況はいつも難しいもの。ただ、100%、昇太のケアのためで、我々は彼にとって正しいことをやろうとした。まだ、登板も残っているから」
◆継投ノーヒットノーラン 大リーグではポストシーズン1度(22年ワールドシリーズ第4戦のアストロズ)を含め通算21度目。カブスは21年6月24日ドジャース戦(ドジャースタジアム)で先発デービーズら4投手で記録して以来2度目。日本では公式戦で5度あり、直近はソフトバンクが21年8月15日の日本ハム戦でスチュワートら6人継投により達成。日本シリーズでは07年第5戦の中日が日本ハム相手に山井-岩瀬のリレーで完全試合を記録。