1日10食、10合ご飯で9キロ増量!?離島育ちの長崎県立大のエースが見せた284球の熱投<準硬式・全国大会(清瀬杯)>

AI要約

清瀬杯第56回全日本大学選抜準硬式野球大会で、立命館大が2-1で長崎県立大に勝利し、決勝進出を果たした。

長崎県立大の出口勝太投手は熱投し、スピードを上げるために努力し、ストレートを磨いてきた。しかし、決勝進出は叶わなかった。

出口のストレートは相手にとって脅威であり、立命館大も苦戦したことが示唆されている。

1日10食、10合ご飯で9キロ増量!?離島育ちの長崎県立大のエースが見せた284球の熱投<準硬式・全国大会(清瀬杯)>

<清瀬杯第56回全日本大学選抜準硬式野球大会:長崎県立大1-2立命館大>◇3日◇準決勝◇札幌円山球場

1日から北海道で始まっていた清瀬杯第56回全日本大学選抜準硬式野球大会(以下、清瀬杯)。3日の準決勝、第2試合では立命館大が2対1で長崎県立大に勝利して、決勝戦へ駒を進めた。

「最後はもう腕に力が入りませんでした」

3日間で2試合に先発登板して18回で284球。まさに熱投だ。

今日の立命館大との試合、前回から中1日で迎えたものの体に張りがあり、「前半から力が入らなかった」と、長崎県立大・出口勝太投手(4年=五島出身)はベストコンディションではなかった。だから「継投をする」という予定だったが、「気持ちで何とか決勝に導く」と4年生として、そしてエースの意地を貫いて、最後まで右腕を振り切った。

最速146キロを計測する九州屈指の快速右腕。2023年の甲子園大会にも召集された好投手だが、その舞台が出口に刺激を与えた。

「あの大会で、池端(航洋)さんや道崎(亮太)さんの投げるボールを間近で見て、『プロ選手になるのはこういう人なのか』と意識の違いを間近で見て、自分の力不足を痛感したんです。

だからこの1年、ストレートを磨いて全国に行くことを目標にやってきました。1日10食、ご飯も3回炊いて、10合くらい食べて体重を9キロが増やしました。おかげで出力が上がったので、2段フォームにしたり、腕の高さを変えたりしたおかげで、スピードが上がりました」

出口はとにかく「ストレートで三振を取れる投手になりたい」という一心で、ひたすらストレートを磨いた。それは五島で学び、経験した教えだからだ。

「当時の監督に、『インコースのストレートに投げろ』って指導を受けたんです。中学時代は制球力がなくて、自信がなかったので、あまり使っていなかったんです。

でも、ブルペンで打者に立ってもらって練習をしたおかげで、投げられるようになったことで、こだわりが強くなったんです。チームメイトが盛り上がる感じ、相手打者を圧倒して、そして悔しがる姿が、気持ちよくなってしまったんです」

だから出口は、ストレートで三振を取れる投手のために、そして全国大会に出るために、この1年は練習してきた。その結果、清瀬杯にはなったが、全国大会出場。初戦の西南学院は、「1年生の時から買ったことがなかった」という相手だが、10回完投でチームを勝利に導いた。

その代償に、満身創痍になった立命館大戦は、初回から先取点を献上する苦しい立ち上がり。7回も二死2塁のピンチ。試合が決まりかねない場面だったが、出口の選択肢は1つだった。

ストレート2球で追い込むと、「ベストボールなので、1番自信のあるボールで行こう」と考えて選んだ136キロのストレートで見逃し三振。相手を圧倒し、味方に勢いを与えた。

その後、打線も1点を奪って追いついたものの、出口の体は既に限界。「外しそうとしたら甘くなった」と失投をはじき返され、8回に勝ち越しを許して、チームも敗れた。

ただ対戦した立命館大の主将・阪上孝太内野手(4年=清教学園)は「ストレートが強いことはわかっていましたが、想像以上に勢いがありました」と決して攻略は簡単ではなかったという。出口がこの1年かけて磨いてきたストレートは、相当の脅威だったのは間違いないだろう。