「体重は足裏全体でうけとめる、ベタ足や。ゴルフスウィングに右足のケリなんて存在せえへんで」【“甦る伝説”杉原輝雄の箴言集⑲】

AI要約

杉原輝雄は50年にわたり活躍し、小柄な体で飛距離こそないが正確なフェアウェイウッドで有名だった。

彼のスイング哲学は体重を足裏全体で受け止めることで、踵や爪先にかけることより効果的だと説いていた。

彼のスイング理論は現代にも通用し、正確なボールコントロールにつながっている。

「体重は足裏全体でうけとめる、ベタ足や。ゴルフスウィングに右足のケリなんて存在せえへんで」【“甦る伝説”杉原輝雄の箴言集⑲】

1960年代から2000年代初頭まで、50年の長きに渡って躍動した杉原輝雄。小柄な体、ツアーでは最も飛ばない飛距離で、当時トーナメントの舞台としては最長の距離を誇る試合で勝ったこともある。2打目をいちばん先に打つのだが、そのフェアウェイウッドが他の選手のアイアンより正確だった。ジャンボ尾崎が唯一舌を巻いた選手で、「マムシの杉原」、「フェアウェイの運び屋」、「グリーンの魔術師」「ゴルフ界の首領(ドン)」と数々の異名をとったのも頷ける話だ。「小が大を喰う」杉原ゴルフ、その勝負哲学を、当時の「週刊ゴルフダイジェスト」トーナメント記者が聞いた、試合の折々に杉原が発した肉声を公開したい。現代にも通用する名箴言があると思う。

ーー「体重は足裏全体でうけとめる、ベタ足や。ゴルフスウィングに右足のケリなんて存在せえへんで」

スウィングで体重をどこにかけるかという議論は、今もあるでしょう。やれ踵にかけるべきだという人も、反対に爪先にかけろという人もいるでしょう。ボクはそのどっちにも組みしません。足裏全体でうけとめる、つまりベタ足で、というのが持論だからです。

これらのことをちょっと検証してみましょう。

まず体重を踵にかけるということやが、その論拠はどこにあるのやろか。これは多分、前につんのめることを防ぐためにいわれたことやないかと思います。しかしゴルフスウィングには体を安定させるためと、もうひとつ力強さも必要とします。ところが踵にはそういう力強さを作り出す要素といったものはありません。

では爪先体重はどうやろか。ゴルフはボクシング、短距離走、相撲などとは根本的に違います。それらの競技では爪先でのケリ――それも両足指の内側――が重要なわけです。ところがゴルフでは爪先のケリは存在しませんのや。右足爪先のケリは目標方向への体のつんのめりを引き起こすだけです。

ダウンからインパクトへの移行は右膝を中心として右足の、左足サイドへ行われるべきで、決して右足爪先のケリによってではありませんのや。

体重は爪先でもなく踵でもなく、足裏全体でうけとめると認識してください。これをスウィングの中で表現するなら、ベタ足打法といってもいいと思います。ベタ足こそ、ボールを正確にあやつるカギと思うてください。