J1札幌撃破の決勝FK弾!! J2で苦しむ葛藤ぶつけた千葉MF品田愛斗「自分が真ん中にいることで解決できると思っていた」

AI要約

ジェフユナイテッド千葉が天皇杯4回戦で北海道コンサドーレ札幌に1-0で勝利し、10年ぶりの準々決勝進出を果たした。

唯一のゴールを決めたのはMF品田愛斗で、直接FKを叩き込んだ。

品田は試合前に特別な覚悟を持ち臨み、チームに強固な土台を提供した。

[8.21 天皇杯4回戦 千葉 1-0 札幌 フクアリ]

 ジェフユナイテッド千葉(J2)は21日、天皇杯4回戦でJ1勢の北海道コンサドーレ札幌を1-0で破り、10年ぶりの準々決勝進出を果たした。唯一のゴールを決めたのはFC東京から期限付き移籍で加入してきたMF品田愛斗。磨き上げてきた右足キックで、力強いFKを直接ゴール右上隅に叩き込んだ。

 0-0で迎えた前半45分だった。ゴールから25mはあろうかという直接FK。目の前には向かって左のコースに壁が立ちはだかる中、左利きのDF佐々木翔悟と並んで位置につき、自らが蹴ることを決めた。

「あの距離なら翔悟が強いボールを蹴れるので最初は任せようかなと思ったけど、壁の位置が翔悟の巻きたいほうを切ってきたので、じゃあここは俺が行くわという話をした」

 蹴るからには自信があった。その根拠となったのは、同じくキッカーを務めていたCKでの感触だ。「今日はコーナーの狙いとしてファーサイドに蹴ることが多かったけど、高いボールよりは速く低いボールで相手の頭を越えていくイメージで蹴るので、引っ掛かることもあるけど、そのフィーリングが一発目でかなり良かった」。

 狙ったのは壁のいない右側のコース。GK児玉潤に近いコースでもあったが、狭いところを力強く撃ち抜いた。「あの距離だったので壁の上を通してもいいかなと思ったけど、狙った位置に自分のリズムで自分のやり方で蹴ることだけ意識した」。ポストをかすめたボールがゴールマウスに吸い込まれ、最後は「ゴラッソだったので気持ちよさ」という感情を込めた熱いガッツポーズを見せた。

■「脆さを何とかしたいと思っていた」

 そんな品田はこの一戦に向け、特別な覚悟を持って臨んでいた。

 J1のFC東京から期限付き移籍で加入したが、ここまでJ2リーグ戦の先発試合数はわずか8試合。途中出場を含めても14試合しか出番がなく、直近7戦1勝1分5敗で昇格争いから引き離されつつあるチームの中でも存在感を高めることができないまま、シーズンが終盤に差し掛かろうとしていた。

 この一戦で何かを示す必要があった。試合後、品田は自身のゴールについて「個人の結果として評価につながる部分もあって、それはそれでいいこと」と述べつつも、それ以上に熱を込め、不調に苦しむチームにもたらそうとしていたものについて語った。

「いつもの自分たちだったら取れていないところで点を取れて、リードして前半を折り返せた。時間帯で自分たちで勝手に崩れてしまう流れがリーグ戦であった中で、そういう脆さを自分も何とかしたいと思っていた。自分が常に真ん中に、冷静にいることで、それが解決できると思っていた。自分一人で周りをコントロールできると思っていた。わかりづらい部分だと思うけど、今日はそこに充実感があった」

 特に後半は、1-0でも崩れない守備面に重点を置いてプレーしていたという。「ゲームメークと言えばわかりやすい部分が攻撃だと思うけど、今日は守備の部分で整理できていた。その整理というのはチームとしてより個人としてだったと思う」。札幌に攻め込まれる時間が続き、思いどおりにならない展開の中でも、自らの力でチームに強固な土台をもたらそうとしていた。

 品田は現在のチームの課題とポテンシャルについて、次のように語った。

「自分たちのサッカーができれば、自分たちはカテゴリ関係なくどこのチームに勝てると思うし、勝敗までは分からなくてもその可能性は大いにあるチームだと思う。でも90分のうち半分以上は苦しい時間になることも多いので、そこをどう整理してやれるか。それを『誰かが』じゃなく、『みんなが』ポジティブに考えてやることが一番だと思う。みんなトレーニングで頑張っているし、やろうとしているので、その姿勢で周りに思うことはないけど、もっと成長できると思うので、自分たちには常に厳しい目を向けてやっていきたい」

 そんな品田自身もこの天皇杯の舞台には“立たせてもらった”立場。3回戦のFC東京戦は期限付き移籍の契約上出場できず、「みんながつなげてくれた1試合でもあったので、責任を持ってやらないといけないという認識があった」。チームメートに報いるためにも結果を残す必要があった。

 その状況は今後のJ2リーグ戦でも、天皇杯の戦いにおいても変わらない。天皇杯では準々決勝の相手・京都サンガF.C.を筆頭にJ1勢との対戦が続き、個の力が問われる試合が続くとみられるが、自信満々に言い切った。「その自信は常にあるので。今日でまたさらに自分がどんなものかを確立できたと思う。また自信を持って次も臨みたい」。そのためにはまず、J2での活躍で価値を示していく構えだ。