「最高の形でした」“あのオフサイド弾”だけでなく…なぜJリーグで不振だったFW細谷真大がパリ五輪で輝けたか「ただ、もっと大事なところで」

AI要約

細谷真大はパリ五輪男子サッカーで存在感を示し、スペイン戦での幻のゴールやマリ戦でのドリブルなど、優れたプレーを見せた。

大岩剛監督のチームは細谷の力を活かし、大会通じて成長を遂げていた。

細谷のコメントやプレースタイルから、彼のプレーにかける情熱とポテンシャルを感じることができた。

「最高の形でした」“あのオフサイド弾”だけでなく…なぜJリーグで不振だったFW細谷真大がパリ五輪で輝けたか「ただ、もっと大事なところで」

パリ五輪男子サッカー、日本代表は準々決勝スペイン戦に敗れてメダル獲得はならなかった。大会通じて成長を見せた細谷真大、チームを束ねた大岩剛監督の“テレビに映らなかった”姿と言葉を取り上げる。〈NumberWebオリジナル「検証:パリ五輪世代」/全3回の第2回〉

 VARにより取り消されたが、細谷真大のゴールシーンは見事だった。

 藤田譲瑠チマからの鋭い縦パスを、バルセロナの17歳パウ・クバルシを背負いながら受けて反転、右足でゴール左に流し込んだ。自身でも「このあとしっかり映像を見て振り返りたい。このゲーム中の判断では最高の形だったと思う」と胸を張ったシーンだった。ゴール前であれほど体を張ることができ、スペインのセンターバックにも負けない強さが、他の対戦相手でどのように発揮されるのか、見てみたいところだった。

 今大会、細谷の存在感は時間を追うごとに増していった。所属する柏レイソルでは今季ここまで2ゴールと、直前までJリーグでは不振に苦しんだが……「五輪にベストの状態でもって来れたと思っています。結果はついてこなかったけど、自分のプレーは出せたと思います」と一定の成果も口にした。

 スペイン戦の幻のゴールのようなプレーやポストワークは、2列目に個性ある面々が揃った大岩ジャパンのサッカーにあって、不可欠なものだった。右サイドに流れての仕掛け、クロスからのシュート、反転シュート、ポストワークなどプレーの幅も見せたのが今大会の細谷だった。

 まず、強く印象を残したのはグループステージ第2戦マリ戦で山本理仁の得点につながったドリブルだ。

 81分、自陣で山本がパスカットし細谷につなぐと、細谷は一気に右サイドを駆け上がった。全力で追いすがるイスフ・シソコを突き放して加速した。顔色一つ変えず、バランスも崩さない強さを見せつけた。

 細谷はこのシーンをこう振り返る。

「ボールが来た瞬間、相手ディフェンスが来たことはわかってました。前を向いたら自分の良さが出ると思ったので、どんどん仕掛けていった」

 気持ち良いほどぐいぐいと仕掛け、ペナルティエリア右から余裕を持ってクロスを入れると、中央に走り込んだ三戸舜介にはわずかに届かず、左から上がってきた佐藤恵允のシュートは相手GKに止められた。だが自陣から猛然とダッシュしてきた山本がこのこぼれ球を押し込んだ。劇的なゴールもさることながら、細谷のフィジカルの強さが際立ったゴールシーンだった。

 それでも本人はいたって冷静だった。

「いいクロスが上がったので、決まって良かったかなと思います」