川崎がようやく掴んだリーグ戦での今季初の連勝の意味。大島僚太、三浦颯太らキーマンらの復活が追い風に

AI要約

川崎は神戸を3-0で破り、今季初の連勝を果たした。

川崎は指揮官の鬼木達監督の下で復調し、大島僚太や三浦颯太の復帰がチームに追い風をもたらしている。

しかし、家長昭博はまだ足りない部分があるとし、チームは勝ち続けることに集中している。

川崎がようやく掴んだリーグ戦での今季初の連勝の意味。大島僚太、三浦颯太らキーマンらの復活が追い風に

[J1第25節]川崎 3-0 神戸/8月7日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 川崎にとってはようやく掴んだリーグ戦での今季初の連勝だ。

 中断明けの一戦としてホームに神戸を迎えたゲームで3-0の勝利。前節のアウェー柏戦に続く大きな勝点3を手にしたのである。

 世代交代の真っただ中の川崎は指揮8年目の鬼木達監督の下で勝利がどうしても続かない不安定な戦いを見せ、前節時点で6勝10分8敗、35得点・35失点の14位。降格圏の18位とは勝点4差と心配な状態に陥っていた。

 もっとも苦境に立たされても決してブレることのない指揮官の下、ボールを握り、魅惑的に攻めるサッカーを身上とするスタイルを貫き、4-3-3から4-2-3-1への微調整を経ながら、徐々に復調してきた印象だ。それが今回の連勝につながったと言えるだろう。

 チームとしてはまだ発展途上で、粗さは大いに残る。もっとも楽しみな戦力が戻ってきたのも追い風である。

 ひとりは川崎の象徴であるMF大島僚太で、もうひとりが今季加入した左SBの三浦颯太である。

 大島復帰の効果はここ数試合を観た人であるなら説明不要だろう。ダブルボランチの一角として絶妙なポジションを取り、相手と味方の位置を把握しながら、芸術的なトラップとパスでチームをコントロールする。負傷期間が長かっただけに、まだ本調子ではないのだろうが、彼がいるといないでは、別のチームになってしまうかのような影響力がある。

 そして左サイドに推進力をもたらすのが三浦だ。甲府から今季加入した23歳は、序盤戦こそチームに新風を吹き込んでいたが、6節の横浜戦で戦線離脱。自身初という長期のリハビリを経て、前節の柏戦でカムバックしたが、今回の神戸戦を含めて2試合続けてのアシストをマークし、彼が戻ってきてから連勝を果たしたところを見ると、改めて“持っている男”と言えるだろう。

 当の三浦は、復帰後のチームの印象と、大島とのコンビネーションをこう語る。

「(序盤戦と比べチームとして)整理されているのはもちろんですし、クオリティも高い。ただ、長いランニングやダイナミックな動きなど“犠牲のランニング”は見ていて少ないとは感じていたので、そこは自分の動きでチームが上手く回ればと。(大島とのプレーに関しては)ここって時の分かりやすい目線の配り方をしてくれますし、ボールの置き位置も今くるなと僚太くんはすごく分かりやすいので、自分も良い状態で受けられます」

 さらに、シーズンを通じて試行錯誤してきたCBコンビの佐々木旭、大南拓磨、CF山田新らが逞しさを増し、ここに従来の戦力である脇坂泰斗、家長昭博、橘田健人らが上手く組み合わさり、チームとして好循環を生んでいる印象だ。さらにパリ五輪を戦い、神戸戦はメンバーに入らなかったCB高井幸大も控える。

 

 もっとも今回の勝利で安心することはできない。

 家長昭博も、初の連勝に対して「まだまだ足りないです」としつつ、今後へのポイントを聞くと、こう語る。

「競争しながら前に向かっていきたいですし、試合はいろんな流れや状況だとか、その試合の90分間の流れがあると思うので、そういうところで見逃さずに、恐らく拮抗した試合に常になると思いますが、チームとしても個人としても掴んでいければ良いと思いますし、それを掴めるか掴めないかで、勝点を積み重ねられるかどうかだと思うので、コレというものがあったら簡単なんですが、あんまりあるようでないので、感じながら掴みながら、瞬間に何ができるのか、自分に問いながらやりたいです」

 神戸戦は相手がふたりの退場者を出した背景もあった。

 そして神戸戦の前に鬼木達監督に今後の目標を聞けば、こう語ってくれていた。

「やはり狙えるタイトルのところはしっかり狙っていかないといけない。あとは自分たちが今置かれている現状から少しでも、選手に伝えているのは1個1個、勝点3を積み上げていこうと。本当に難しい戦いにはなると思いますが、リーグに関しては特にここから残り全部勝っても勝点70なので、その数字が今年の試合数から考えると優勝ラインかと言われると少し難しいところがあるのかなと思いますが、自分たちが何か起こせるところへいかなければいけないと思っています。

 勝ち続けるのは不可能だとも思わないですし、自分たち次第と考えているので、そういう意味で言うと、何位以内とか優勝とか、そういうことではなくて、やっぱりまずは目の前のことに勝ち続けようと。中断前から選手たちにはまず勝率を五分に持っていかなくてはいけないという話は伝えています。そこに辿り着いて、次の話ができると考えています」

 神戸戦の勝利で7勝10分8敗の12位。この順位に満足できるチームではない。天皇杯はすでに敗退しているが、ルヴァンカップを残し、秋口からは新フォーマットとなるACLエリートも始まる予定だ。

 ここからチームがどう進化していくか楽しみにしたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)