W杯の「シンデレラガール」宮沢ひなた、パリで真価示す…「ひなたがいないとダメと思わせたい」

AI要約

なでしこジャパンのエースが大けがから復帰し、五輪への出場を果たすために奮闘する様子が描かれている。

大塚慶輔フィジカルコーチも登場し、エースの復帰を支援する様子が示唆されている。

五輪メンバー発表前のなでしこジャパンの活動やエースの成長過程が詳細に描かれている。

 夏のパリ五輪が開幕するまで1か月を切った。目前に迫った大舞台で、注目競技の日本のエースたちはどんな戦いを挑もうとしているのか。担当記者が紹介する。

 6月14日、日本女子代表「なでしこジャパン」のパリ五輪メンバー発表。池田監督から自分の名前が読み上げられると、安堵(あんど)感をにじませた。ワールドカップ(W杯)得点王の実績はあるものの、選ばれるかどうか、確信はなかった。「ずっとそわそわしていた。やっと自分の向かう場所へ(気持ちを)切り替えられた」

 昨年のW杯では前線で抜群のスピードを生かした背後への抜け出しが光り、5得点とゴールを量産。世界にその存在を知らしめ、大会後にマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)へ移籍した。だが、リーグ初得点を挙げてこれから、という時にアクシデントに見舞われる。昨年12月のなでしこのブラジル遠征で右足首骨折。長期離脱を強いられることになった。チームが3大会ぶりに自力で五輪切符をつかんだ2月の北朝鮮戦はメンバーから外れ、味方の活躍を祈ることしかできなかった。

 人生で初めてという大けがをしたことが、自分自身を見つめ直すきっかけになった。個人トレーナーをつけ屈強な海外勢に当たり負けしない体の使い方を模索。スピードをより生かせるように初速の向上に目を向けるなど、走りの細部にこだわった。

 なでしこの大塚慶輔フィジカルコーチも「けがの前はピッチでの(プレーの)表現が全て、という感じだったが、トレーニングと向き合えるようになった」と評価する。3月末からクラブに本格復帰すると、限られた出場時間の中、たくましさを増した体で相手と競り合い積極的に仕掛ける場面も増えた。

 五輪メンバー発表前最後の活動となった5~6月のなでしこのスペイン遠征では、周囲との連係不足もあってなかなか思うようなプレーができず、慣れないポジションでも起用された。五輪メンバーの発表当日まで不安を募らせていたが、指揮官の信頼はやはり、揺るがなかった。