強度に苦戦しながらもバトルし、連係や決定力で差。U-16日本代表がベネズエラを4-0撃破!

AI要約

U-16日本代表がU-16ベネズエラ代表を4-0で破り、優勝に向けて大きく前進。

日本代表は激しい対戦を通じて戦術や精神面で成長し、連覇に向けて意欲を示す。

最終節でのU-16セネガル代表戦に向け、日本代表は堅守と効果的な攻撃を維持する準備をしている。

強度に苦戦しながらもバトルし、連係や決定力で差。U-16日本代表がベネズエラを4-0撃破!

[6.21 U-16インターナショナルドリームカップ第2節 U-16日本代表 4-0 U-16ベネズエラ代表 Jヴィレッジスタジアム]

 U-16日本代表が南米勢を撃破し、優勝に前進――。21日、「U-16インターナショナルドリームカップ2024 JAPAN」第2節が福島県のJヴィレッジスタジアムで行われ、ともに1勝のU-16日本代表とU-16ベネズエラ代表が激突。日本がFW浅田大翔(横浜FMユース)の2ゴールなどによって、4-0で快勝した。日本は23日の最終節でU-16セネガル代表と対戦。引き分け以上で4連覇が決まる。

 今大会、日本は欧州勢のウクライナ、南米勢のベネズエラ、アフリカ勢のセネガルと対戦。ベネズエラからは、前日の指導者交流会で「(日本と異なり、)我々は戦うことをベースにしたチームだからいい経験になるよ」とメッセージを受けていたという。

 日本の高校1、2年生たちはこの日、慣れない強度に苦戦しながらも、球際、気持ちの部分でもバトル。廣山望監督は「『日本は戦ってくる』と思ってもらえるような試合にしようぜと。実際に向こうも来たから、そういうところで戦えて、まだまだ反省点はありますけれど、最低限、それをベースに結果を残せたというところを自信にして欲しいですね」と頷いた。

 日本は6-0で快勝したウクライナ戦から主将のDF横井佑弥(G大阪ユース)とMF福岡勇和(鹿島ユース)を除く先発9人をチェンジ。GKは佐藤陸斗(山形ユース)で、右SB田中遥大(FC東京U-18)、CB篠崎健人(市立船橋高)、CB横井、左SB山中優輝(横浜FMユース)、MF野口蓮斗(広島ユース)、福岡、土井口立(神戸U-18)、西岡健斗(磐田U-18)、FW浅田、奥田悠真(川崎F U-18)の11人で試合をスタートした。

 日本は前半8分、田中からの縦パスを受けた浅田がマークを外して左前方へパス。西岡が抜け出し、切り返しから右足を振り抜く。DFに当たって枠を外れたが、このプレーで獲得した右CKから先制点を奪った。

 キッカーの西岡がペナルティアーク方向へグラウンダーのCKを入れる。味方との連係でマークを外した浅田が右足ダイレクトでシュート。雨中でフカさないことを意識した一撃が、ゴール左隅へ決まった。前日のセットプレー練習の成果も出て先制。日本は16分にもゴールを奪う。

 自陣でのパス交換から右サイドの田中がロングフィード。PAへ抜け出した土井口が切り返し、マイナスのパスを送る。これに走り込んだ浅田がファーストタッチで相手のタックルをかわすと、さらに右前方へ大きく持ち出してから右足一閃。強烈な一撃をファーサイドのネットへ突き刺した。

 序盤の2つのチャンスを浅田の決定力によってモノにし、早くも2点リード。さらに浅田が右サイドからゴールエリアへ侵入したほか、相手のミスパスを狙った土井口のシュートで畳み掛けようとする。だが、日本はリードこそしているものの、ベネズエラに主導権を握られる展開になった。

 18分、ベネズエラは左クロスからMFジンベルト・ヘスス・ベロテラン・カスティジョ(UCV FC)がクロスバー直撃のヘッド。日本は相手のクロスやスローインの浮き球で先に触られるシーンが続いた。また、ゴールライン際で相手をブロックしきれずにCKを与え、浮き球の落下地点に先に入りながら助走をつけてくる相手に競り負けるシーンも。中盤を1対2で巧みに攻略されたほか、194cmCBマルコス・アウレリオ・マイタン・マジョ(モナガスSC)の高さに差をつけられるなど学びの多い展開となった。

 中盤でバトルの回数が増えていた野口は、「(相手の強度は)想定以上でした。南米とするのは初めてだったんで。南米はボールの際が違うなと思いました」と振り返る。それでも、DF陣が少しずつ競り勝つ回数を増やすなど、押し込まれた時間帯に失点しなかった。

 逆に山中のダイナミックな縦突破や、奥田とのワンツーから土井口の放った右足シュートなどチャンスも作って前半を終える。その日本は後半開始から田中、西岡に代えて右SHに薄井翼(浦和ユース)、CBに藤井翔大(横浜FMユース)を投入。土井口を左SH、篠崎を右SBへ移した。その日本は、右サイドのスペースを活用した攻撃から、初戦同様に好プレーを続ける薄井が高精度キックでチャンスメーク。また、キープ力を見せていた野口のスルーパスで浅田が右へ抜け出し、クロスに山中が走り込む。

 長短のパスとコンビネーションで右サイドを攻略していた日本は15分、土井口、浅田、奥田に代えてMF小林志紋(広島ユース)、FW葛西夢吹(湘南U-18)、FW吉田湊海(鹿島ユース)を投入。すると20分、右SB篠崎の縦パスに反応した葛西がPAで相手DFと入れ替わる。そのまま左足でゴールへ蹴り込み、2戦連発のゴールで3-0。守りではベネズエラのサイド攻撃にゴール前まで持ち込まれてはいたものの、横井がシュートをブロックしたほか、ともにサイドの局面で蓋をしていた篠崎と山中、要所を締める藤井が決定打を打たせない。

 また、枠を捉えたヘッドはGK佐藤がキャッチ。日本は笛が鳴った後の小競り合いでも引かず、終盤も福岡や吉田が運動量を増やしてボールを奪い返すなど、攻守で相手以上の戦いを見せた。廣山監督が「だいぶレギュラー争いというか、途中から入ったやつが『何とかしてやる』みたいなのがあるチームになっているので、それが実際にゲームの結果に繋がっていると思います」というように、初戦に続いて交代出場した選手たちがエネルギッシュな動き。このことも後半加速する要因になっていた。

 また、交代出場組を含め、連係やゴール前の攻防は相手との差に。ベネズエラのオスワルド・アウグスト・ビスカロンド・アラウホ監督は、「(日本は)連係について、凄く良く連係が取れています。凄い時間をかけて磨き上げていると感じています。(また)日本チームが決定機を決め切れたことが差になったと思います。(ベネズエラは)競り合いとしては勝っていた部分もあるかもしれないですけれども、物足りていない。もっと出せると感じています」と感想を口にしていた。

 25分、日本は山中と横井をCB児玉一成(京都U-18)とMF武本匠平(福岡U-18)へチェンジ。薄井を右SB、篠崎をCB、藤井を左SBへ移した。切り替えの速い守備と連動した攻撃を続けると、吉田がポスト直撃の右足シュートを放つなど4点目のチャンス。そして、45+5分、福岡に代わって投入されたMF神田泰斗(大宮U18)の右CKを吉田が豪快に頭で叩き込んだ。吉田も2戦連発。相手指揮官も「色々な武器を持っていて、素晴らしい選手だと思っています」と評していた10番が試合を締めた。

 各試合で2得点以上、1失点以内をノルマに戦う日本が2試合計10得点、無失点で2連勝。廣山監督は、「本当にこういう(バチバチの)試合をやれるのはありがたい。(無失点については)だいぶ選手がこだわってやってくれている。こだわりが予測とか対応力を生むと思うので、最終戦も簡単じゃないですけど、(セネガルには)1個の緩みとか1個のズレでゴールまで持っていく力、クロスまで持っていく力があるので、ちょうどいい段階を踏んでセネガルをゼロで抑えたい。2得点以上、1失点以内というのはどの難しいゲームでも達成しないといけない」。最終節で対戦するセネガルは、勝利と大量得点が逆転優勝の条件。立ち上がりから猛プッシュしてくることが予想されるが、日本にとって、その経験も今後に繋がることは間違いない。

 山中は「本当にセネガルは身体能力も高いし、自分たちよりも多分スピードが速いと思うので、今日より集中力を上げて。今日もピンチとかあったので、イージーなミスもなくして、無失点で、2得点以上で勝てるようにしていきたい」と力を込めた。U-16日本代表は今秋に、25年U-17ワールドカップのアジア予選をスタート。その前の貴重な機会でまた成長し、結果も勝ち取る。